デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

#ドラマ番組

地味で自由な裏怪奇。 緊急指令10-4・10-10

『テン・フォー。了解』 『テン・テン。よろしく』 数ある円谷作品の中で(「恐怖劇場アンバランス」と並んで)最も地味な、しかし最も自由なシリーズ、それが、 「緊急指令10-4・10-10」 (1972年7月20日~12月25日放送) 大学教授の毛利春彦(黒沢年男)が…

三角マークを捧げたくなる男達。 TV版ワイルド7第1話

製作は国際放映なので系列としては東宝なのですが、印象は東映プログラム・ピクチャー。 三角マークが透けて見える熱い男の物語です。 「ワイルド7/第1話・復讐のヘアピン・サーカス」 (1972年10月9日放送/長谷部安春監督) 金塊強盗団を“退治”するオー…

“いきなり顔の法則”再び。 ジャイアントロボ/第1話

「主人公と主役ロボットの初対面は“いきなりそこに巨大な顔がある”でなければならない」(庵野秀明) 「トップをねらえ!」レビュー時にご紹介した“いきなり顔の法則”です。 あの時は、“見上げる系”に「ジャイアントロボ」をカテゴライズしてしまいましたが…

追悼:坂口良子。 ウルトラマンタロウ/怪獣サインはV

坂口良子さんがお亡くなりになりました。3月27日。消化器系疾患。57歳。坂口さんと言えば「犬神家の一族」の女中さん、「獄門島」の理髪店の娘が真っ先に思い浮かぶのですが、「獄門島」ネタは大原麗子さんご逝去の時に使ってしまったので、今回は別アングル…

その幻視は嫌いじゃない。 ネオ・ウルトラQ/パンドラの穴

相変わらずの“投げっ放し”&“意味があるように錯覚させる引用”が目立つ脚本でしたが、個人的に好感の持てる一編ではありました。「ネオ・ウルトラQ/第4話・パンドラの穴」(2013年2月2日放送/石井岳龍監督)OPナレでニーチェの箴言(怪物と闘う者は、…

世界観が違い過ぎないか? ネオ・ウルトラQ/洗濯の日

確か先週は、怪獣であるというだけで、「殺せ!」「守れ!」と世論が二極化する世界だったと思うのですが。今回は、下町でクリーニング屋を営み、住民から慕われる怪獣のお話。同じ脚本家が書いたにしちゃあ、世界観が違い過ぎないか?「ネオ・ウルトラQ/…

SPEC~警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿~(長い、長すぎる!)

『老人たちがずっと閉ざしてきたパンドラの箱をついに開けてしまうのか…』劇場版「天」の前にテレビシリーズ(スペシャル含む)をおさらいしておこうかと思ったのですが、こういう遡及的予習復習は大変だなあ。まあ、エヴァの「新劇場版」から嵌って、テレビ…

実質シリーズ最終回。 仕事人大集合

『付き合いは短い方が楽しいぜ。長生きしろ』必殺シリーズ10周年記念。特別企画にして実質的最終回。「仕事人大集合」(1982年10月1日放送/工藤栄一監督)時間軸で言うと「新・必殺仕事人」の後日談で、翌週から始まる「必殺仕事人Ⅲ」の前日談。つまり、こ…

ただひとつの命のために。 ウルトラセブン/史上最大の侵略

『明けの明星が輝く頃、ひとつの光が宇宙に飛んでいく。それが僕なんだよ。…さよならアンヌ!』 『待ってダン! 行かないで!』 『アマギ隊員がピンチなんだよ!』 シューマンのピアノ協奏曲イ短調と共に子供心に刷り込まれた特撮ドラマの最高峰。 同時にウ…

追悼:大滝秀治。 特捜最前線/バラの花殺人事件!

『馬鹿なことをしたもんだな、ジョー。一生を棒に振る価値のあることだったのか?』大滝秀治さんがお亡くなりになりました。10月2日。肺扁平(へんぺい)上皮がん。87歳。代表作がありすぎて手がつけられません。えいや!で1本選びます。「特捜最前線/第2…

ありがとう。 ウルトラマン最終回「さらばウルトラマン」

『キャップ、あれですよ、あの紅い球ですよ。僕は竜ヶ森で衝突して…衝突して今までどうしていたんだろう』 シリーズ最大の問題発言だと思うのですが…。 「ウルトラマン/最終回・さらばウルトラマン[英題:FAREWELL, ULTRAMAN!]」(1967年4月9日放送/円谷…

斬る! 必殺仕事人・特別編 恐怖の大仕事 水戸・尾張・紀伊

易々と敵の手に落ちた加代(鮎川いずみ)とおしま(三島ゆり子)を秀(三田村邦彦)がババア呼ばわりしながら鉄拳制裁!ナマ言う秀を主水(藤田まこと)が若造呼ばわりしながら鉄拳制裁!敵の尾行を許した加代が主水に土下座号泣謝罪!かろうじて初期仕事人…

非道ムラマツ(笑)。 ウルトラマン/禁じられた言葉

『この私にたった一言、地球をあなたにあげます、と言ってくれないか』 歴代宇宙人の中でも屈指の知性を誇るジェントルマン、メフィラス星人の登場です。 「ウルトラマン/第33話・禁じられた言葉[英題:THE FORBIDDEN WORDS]」(1967年2月26日放送/鈴木…

女子に君づけ萌え。 アイアンキング/宇虫人タイタニアン編

北米版THE COMPLETE SERIESのレビューもいよいよ最後。 トリを飾るのはシリーズ初の異星人、タイタニアン。 「アイアンキング/宇虫人タイタニアン編」 (第18話-26話/全話佐々木守脚本) どう見ても「Vフォー・ヴェンデッタ」(写真2枚目)の出来損ない…

貧乏クジ? 帰ってきたウルトラマン/ウルトラ5つの誓い

『次郎、大きくなったらMATに入れ。MATの隊員は皆勇気ある立派な人たちだ。君も嫌なもの、許せないものと闘える勇気ある男になるといい』ウルトラマンに変身し、格好良く去っていく郷秀樹。正に大団円…って、ちょっと待て。実の兄(岸田森)、姉(榊原…

佐々木守の正義とは? アイアンキング/独立幻野党編

『俺たちの革命の時が来たぞ!』 『やるぞ! 現政権を打ち倒すのだ!』 『同志諸君! 革命だ! 俺達の時代を作るべき革命の時は今来たのだ! 立ち上がれ! 同志諸君! 俺たちは今から独立幻野党、またの名を幻兵団と名乗る!』 来ました。佐々木守が本領を発…

人間は侵略者。 ウルトラセブン/ノンマルトの使者

「ウルトラセブン」私的ベストエピソードを選ぶなら、以前ご紹介した「盗まれたウルトラアイ」「超兵器R1号」とこれが順不同ナンバー・ワンです。 「ウルトラセブン/第42話・ノンマルトの使者」 (1968年7月21日放送/満田かずほ監督・金城哲夫脚本) 多…

降板女優博覧会。 アイアンキング/不知火一族編

北米版THE COMPLETE SERIESからのピックアップ・レビュー…なのですが、ウルトラマンと違って個々のエピが立っているシリーズではないので、敵毎の切り分けで御紹介いたします。まずは最初の敵、不知火一族。「アイアンキング/不知火一族編」(第1話-10話/…

差別とイジメと迫害と。 ウルトラマン/まぼろしの雪山

『(科学特捜隊は)何でもかんでも怪獣呼ばわりして殺してしまう恐ろしい人たちだわ!』『怪獣は所詮、人間社会には入れてもらえない悲しい存在なんだ』15年前、雪山で行き倒れた母娘。母親は飢えと寒さで死亡。奇跡的に命を繋いだ赤ん坊。しかし、よそ者で…

科学賛歌のネガフィルム。 ウルトラマン/故郷は地球

『諸君、あれは怪獣ではありません。あれは、いや彼は、我々と同じ人間なのです』加熱する宇宙開発競争。先走った有人実験の失敗。隠蔽。見捨てられたロケットとパイロット。人間の形を捨て、見捨てられた怨嗟を糧に故郷に辿りついた男、ジャミラ。『諸君、…

秘技!トンカチ乱れ投げ! 必殺まっしぐら[最終回]

オカルトに走った「うら殺し」や、打ち上げ花火の如く徹底した“遊び”に振り切った「剣劇人」は微笑ましく観ることができましたが、これは…。必殺とスーパーマリオ、奇跡の合体(誰が望んだんだ、そんな方程式)。「必殺まっしぐら/最終回・相手は江戸の大魔…

暗中模索な初期設定を愉しむ。 仮面ライダー/怪奇蜘蛛男

今や仮面ライダーと呼称されるキャラクターが何人いるのか想像もつきませんが、長寿シリーズの原点は、“暗中模索の初期設定”がてんこ盛りで実に味わい深いものがあります。 「仮面ライダー/第1話・怪奇蜘蛛男」 (1971年4月3日放送/竹本弘一監督) ざっと…

教養が命取り。 暗闇仕留人/最終回・別れにて候

『わしを殺せば日本の夜明けが遅れるぞ!』 教養が生んだ一瞬の躊躇が命取り。 「暗闇仕留人/最終回・別れにて候」 (1974年12月28日放送/松本明監督) 必殺を名乗れない大人の事情、黒船来航という明確な時代設定、仕留人が皆義兄弟(主水の妻りつの妹二…

係長の慟哭。 西部警察PartⅢ 大門死す!男達よ永遠に…

『何故私にだけ知らせてくれなかったんです?! 私だって…私だって…』 小暮課長(石原裕次郎)はじめ大門軍団全員の警察手帳を自分の机の引き出しに発見した佐川勘一捜査係長(高城淳一)。 捜査権を剥奪された署員全員が職を辞する覚悟でテロリスト藤崎(原…

実相寺放し飼い2。 ウルトラマンマックス/狙われない街

『俺はね、40年間、潜伏して見守ってきたが、もう攻撃をしなくても、人類は俺たちの手に落ちると確信したんだね。だからもう、帰る!』『人間は便利なツールを手に入れ、どんどん退化しはじめたからさあ。町中、猿だらけ。放って置いても滅びるよ。新しい道…

過ちを犯す権利。 大都会 闘いの日々「前科者」「私生活」

『主人がいくら懸命に真面目にやろうと努力しても、世間は前科者に本当に冷たくて、それだけでまともな職にも就けず、何かがおこるとすぐ疑られ、また職を変えねばならず、そうやって6年間一生懸命やって、それでも駄目で何かをしたのなら、それは私もう責…

そこは人間交差点。 大都会 闘いの日々

“人は流れに逆らい、そして力尽きて流される” 「装甲騎兵ボトムズ」第21話「遡行」の予告ナレーションですが、正にそんなキャッチがぴったりの虚飾を排したハードボイルド人間ドラマ。 「大都会 闘いの日々」 (1976年1月6日-8月3日/日本テレビ) タイトル…

放送された事に意義がある。 インスマスを覆う影

例えば「世にも奇妙な~」とか、「本当にあった~」とかと同じ土俵のモノサシで測ると“物足りないホラー”になってしまうかもしれません。 所謂、幽霊譚とクトゥルフは別の世界の物語。 この時代に、しかもゴールデンにラヴクラフトがテレビ放送された、その…

その銃は51NAVY! 必殺からくり人血風編・最終回

尊皇、攘夷、佐幕…。現代のカリカチュアとしての時代劇である必殺シリーズにおいて、時代背景を色濃く反映させているのは「暗闇仕留人」と本作くらいではないでしょうか。 「必殺からくり人・血風編/最終回・夜明けに散った赤い命」(1977年1月14日放送/松…

さらば会田刑事。 非情のライセンス/第Ⅲシリーズ最終回

「母さんを返してよ! あんたなんか…あんたなんか、死刑になればいい!」 絶叫する少女。罵声を受けながら兇悪の門をくぐる会田。その視線を受け止め頷く橘。矢部部長(山村聰)、会田刑事(天知茂)、捜査一課・橘(渡辺文雄)三人の友情が頂点を極めた瞬間…