『窓が好き。常に変化があって、命の輝きに満ちている』
幼少期から重度のリウマチ(若年性関節リウマチ)のため、同年代の子供と遊ぶ機会もなく、家の中で家族と過ごす時間が好きだったというモード・ルイス。
そんな彼女にとって、窓から覗く景色こそ世界の全てだったのかもしれません。
「しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス」(2016年/アシュリング・ウォルシュ監督)
カナダのフォークアート画家、モード・ルイス(1903年3月7日-1970年7月30日)と夫エベレットの半生記。
成人して両親を続けざまに失い、叔母に引き取られますが、束縛厳しく文句多く、厄介者に居場所無く…。
町はずれの一軒家で暮らしている魚売りの男エベレットが家政婦を募集しているのを知り、住みこみで働くことに。
孤児院育ちで粗野なエベレットとモードは互いの距離感がつかめず、最初はすれ違いますが、やがて割れ鍋に綴じ蓋的夫婦に。
モードを演じたサリー・ホーキンス(ハリウッド・ゴジラにも出とる!)も素晴らしいですが、エベレット役のイーサン・ホークが巧い!
いかにもDV夫な佇まいを見せながら(1回ぶん殴ったりしますけどね)、根は優しいツンデレさん。
家の中のあちこちに絵を描き始めたモードに
『誰が壁に絵を描いてくれと頼んだ!? …そっちの壁には描くな。後は描いていい』
モードの絵に値がつくようになり、作品制作に没頭しだすと、
『家事はどうした!?…掃除だけやってやる。掃除だけだからな!』
網戸が欲しいというモードに『そんなものはいらん!』と言いながら黙って取り付けてあげたり、いやもうイーサン最高。
ちょっと夫婦でビデオでも、という時にお薦めの1本です。
第6回カナダ・スクリーン・アワード(カナダ・アカデミー賞)で、作品賞、監督賞(アシュリング・ウォルシュ)、主演女優賞(サリー・ホーキンス)、助演男優賞(イーサン・ホーク)、オリジナル脚本賞(シェリー・ホワイト)、編集賞(スティーヴン・オコンネル)、衣裳デザイン賞(トリーシャ・バッカー)の7部門受賞。
★こんなイーサンもどうぞ。