コンビニ時代、店内放送で流すCM(キャンペーン告知とか)を作っておりました。
この頃、有線放送の担当者から聞いた話。
有線放送は文字通り、“有線”によって局と店舗を結んで音楽を供給しております。
現在は淘汰に淘汰を重ねて大手数社が生き残っておりますが、この頃は群雄割拠の戦国時代。
限られたパイ(当時の主流は飲食店)を奪い合う「殺(と)れい、殺ったれい!」の毎日だったそうで(特に西の方)。
新規客を取ることは勿論大事ですが、手っ取り早いのは競合導入店舗の鞍替え。早い話が横取りです。
有線ケーブルは会社によって色が異なるようで、電柱を見上げればどこと契約しているか分かるんだそうです。
で、他社のケーブルを見かけたら、忍者の如き素早さで電柱をするするする。
鞄に忍ばせた鈍く光る必殺の営業ツール【ニッパ】でケーブルをぷつん。
何食わぬ顔で店に入り『どーもー。○○有線でーす』
『あーうちはもう▲システムに入ってるよ。あれ? 音がでねーな』
『でしょう?あそこ出力が不安定なんすよ。どうです、この機会にうちに変えたら。大丈夫、解約の手続きはこっちでやっておきますから』
このトークのキモは「解約手続きはこっちで」の所。
手続きは簡単。「おたくの顧客のA店はうちに契約切り替えたので悪しからず」という文面のハガキを投函するだけ。
恐ろしいシステムです(笑)。
ある日、この必殺ニッパ営業で契約切り替えに成功した新人営業マンがおりました。
ふと見れば切り替えた▲システムの本社の前。
『丁度いいや、契約切り替えのハガキ手渡ししちゃおう』
意気揚々と敵陣事務所へ入り、切り替えハガキ手渡し。すると…
『これはこれは誰かと思えば○○有線のお兄さんかい。おう、皆、○○有線さんがわざわざ契約切り替えの報告に来てくれはったぞ。丁重にもてなさんかい!』
そのまま拉致監禁(全く同じシーンを「アウトレイジ」の1作目で観たような気がいたしますが気のせいでしょうか)。
その後、上層部同士の“手打ち”によって解放されたようですが、この話は今も「武勇伝(?)」として語り継がれているそうです。
繁華街を歩いていたら電信柱を見上げてください。夕陽を照り返す鈍い光が見えたなら、そこにいるのは作業員ではなく、営業マンかもしれません。
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※放送するのは「遠すぎた橋」の方です。念の為。
★本日のテレビ放送②【25:59~日本テレビ/映画天国】