Joe, Wake Up. Let’s Go. It’s A Beautiful Day.
『ジョー起きて。行きましょう。今日はいいお天気よ』
ふと、「モダン・タイムス」のラストの台詞、
Buck up - Never say die. We'll get along.
『元気を出して。死ぬなんて言っては駄目。きっとうまくいくから』
を思い出しました。
(2017年/リン・ラムジー監督)
ジョー(ホアキン・フェニックス)は、(誘拐やら拉致やら監禁やらで)行方不明となった少女の捜索を請け負う奪還スペシャリスト。
元軍人(俺のせいで子供が!)、元FBI(俺のせいで被害者が!)。幼少期は父親からDV。人生トラウマ雪だるま。
作業過程における多少(?)の流血は織り込み済み。
得物は都度ホームセンターで購入する金槌。
今日も俺の金槌が悪党の頭蓋をカチ割るぜ。
と書くと、「タクシードライバー」「レオン」「イコライザー」「ハード・コアの夜」等と同じ箱に思えますが全然違います。
今回の依頼主は州上院議員アルバート・ヴォット。2年前、妻の自殺直後に家出、ある組織に囚われた娘ニーナの捜索と奪還。
景気よく金槌振り回して娘奪い返したまでは良かったのですが、依頼主の議員が飛び降り自殺。
なんじゃそりゃと思う間もなく武装警官がジョー宅急襲。ニーナは再び何者かの手に…。
普通のアクション映画として撮る事も十分可能だったはずですが、この監督さん、説明的表現を全削除。
現実と過去の記憶と妄執をシームレスに行ったり来たり。まるでジョーの精神にサイコダイブして心象風景の断片をのぞき見しているような映像に仕上げています。
スノッブが好みそうなパズル絵がちぃっと鼻につきますが、ヒントはきちんと散らしてあるので、あれこれ考察したい時には丁度いい教材にはなると思います。
★ご参考