『カンフーは殺しの道具だ。お前らみたいに肉体と精神両方追いかけていたら勝てないんだよ』
『ならば教えてやろう。善きカンフーを』
どかばきぐしゃ!
『これがカンフーだ』
セガールが動いている…だと!?
「沈黙の達人」(2018年/マチュー・ウェシュラー監督)
アックス(セガール)は傭兵部隊のリーダーとして大暴れ…していましたが、築いた死体の山を悔いて仏に帰依。
今は中国と接する国境の町モンラ(ミャンマー政府の支配が及ばない無法地帯)で医師(赤ひげ先生ならぬ泥棒ひげ先生)として働いておりました。
ある日、貧乏医院には似つかわしくない富裕層の男が来院。
娘のタラが組織(よく分かりませんがお薬とか人身売買とかとにかく悪~い事している奴ら)のボス、キューマムにさらわれたので助け出してほしい、と懇願。
キューマムは何かの呪いで“陽の当たる場所に出られない”体なんだそうで。そして、タラにはヒールの能力があるとかないとか。
タラがキューマムを癒してしまったら、キューマムは勢力を拡大して、更に誘拐エリアが広がってしまう。
アックスはかつての傭兵仲間に再呼集をかけ、巨悪の巣窟を叩くのでした。
今回は製作のみならず脚本もセガール。気合の入り方が違います。
アクションは例によってダブル大活躍なのですが、本人が動いているシーンも多く、編集の巧さと相まって、かつての輝きを取り戻したかのような立ち回りを見せております。
あまりに動きが良いんで、昔の作品が発掘されたのかと思ったくらい。
体も相当絞ったようで。やれば出来るじゃないかセガール。
とは言えやる気出してもセガール。突っ込みどころは満載です。
カンフーの精神面(Spirituality)を朗々と説いているので、そういう戦い模様を見せるのかと思いきや、結局、傭兵重火器ズババババン!
キューマムのアジトに侵入する算段もあれこれ調査・研究しているのですが、チャーリーズ・エンジェルの足元にも及ばない適当さ。
潜入ミッションのはずなのに結局傭兵重火器ズババババン!
キューマムが太陽に弱いという設定なので、これは死亡遊戯リスペクトな決着にするのだろうと思いきや、最後は刃物ですぱーんすぽーんすぱすぽん。
ええっと、善きカンフーはどこに?
エピローグはカンフーの達人集会(?)でカンフー界の頂点に立ったかのような大演説。
『カンフーは中国発祥だが、他の武術と同様、すべての人のためにある。(中略)皆さんに言いたい。最後まで正統派のカンフーを守り抜いて欲しいと』
よく怒られなかったなセガール。
でも驚いちゃいけません。今回はまだあとがあります。
なんとエンドタイトルで「セガールとゆかいな仲間たち」によるブルースライブが!!
ノリノリで踊りまくる出演者たち(みんなつきあいいいなあ。特にルイス・ファン)。
俺様映画の頂点を見ました。
おまけ
本作の個人的名場面は「人間が魚の餌になるまでの工程を逆回転で表現した」ところ。
ここに限らないですが、カメラワークが凝っている(と言うかどっしり構えて落ち着いている)のが好印象でした。
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★本日2月6日は「世界女性器切除根絶の日」。
アフリカを中心に行われている女性器切除の風習について広く世界の人々に認識させ、その撲滅を促進するための日、だそうです(2012年の国連総会で制定)。
撲滅の一環となれば…。
★そして本日のTV放送は…
【13:00~BSプレミアム/プレミアムシネマ】