デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

この線から中に入っちゃいけないよ。 (r)adius ラディウス

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気がつけば夜。林? 目の前に横転した車。頭いてぇ…あ、ぃ出とる…事故ったのか?

ここはどこだ? 標識…ウッドモア・カウンティ?

通りかかった車は道を外れて停車。運転していたお姉ちゃんは…死んでる。

警察に電話を…って俺の名前は?

免許証…リアム・ハートウェル…それが俺の名前なのか。

ダイナーがある。あそこで話を聞い…全員死んどる!

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ウィルスか、ウィルスなのか。

どこか隠れる場所を…とりあえずこの家へ…無人…留守電の応答メッセージ“リアム・ハートウェルです”…ってここ俺んちか!?

窓から人が見える。近所の人か。ここは危ない、家に帰れ! こっちに向かって歩いてくる…途中で倒れて死んだ。

外。カラスがいる。近づいたらポトリと落ちて死んだ。

俺の動きに合わせて空から鳥がポトポトと…。

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俺か? 俺が原因なのか? 俺が近づくとみんな死ぬのか?

見事な設定です。金はなくともアイデア1発でSFは紡げる見本。このまま走り切ってくれれば言うこと無しだったのですが。

「(r)adius ラディウス」(2017年/カロリーヌ・ラブレシュ、スティーヴ・レオナール監督)

radiusは「半径」。記号で表すときは頭文字をとってrと表記するので頭を(r)としたのはDVD販売元の小洒落た配慮(?)なのでしょう。

自分に近づく者は全て死ぬという呪いのような力をもった男。

なぜか、その射程半径に入っても死なない女ジェーン。

ジェーンもまた記憶喪失。しかも事故の時、リアムの車に同乗していたらしい。

この女は誰で俺たちはどこに行こうとしていたんだ?

あの夜の出来事が個別にフラッシュバックしながら断片的に繋がっていく過程が面白い。

どうやらジェーンが傍にいると即死トラップは発動しないらしい。

トリガーとストッパー。揃えば無害。離れると災厄。

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二人を引きはがすと…

 

この問答無用なSF的状況を活かし切れず、後半普通のサイコ・スリラーにシフトしてしまうのが残念無念。

いやそれはそれで面白い展開なのですが、前半との相性があまりに水と油。美味しいものを混ぜるとさらに美味しくなる…とは限らない。

大友克洋「MEMORIES」の中の「最臭兵器」をハードSFにした感じなので、綺麗にまとめようとせず、最後はストッパーを失ったリアムがデストピアを解き放つ〆にしてくれれば百点満点でした。

 

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