デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

うぬぼれてワルツを。 襲られた女

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「ピンク映画ベストテン2019」の表彰式が5月5日に東京・上野オークラ劇場で開催されるそうです(それまでにコロナが収束していることを祈っています)。

ピンク映画雑誌「PG」が主催していた「ピンク大賞」が2019年に第31回を以て幕を閉じたことを受け、その志を引き継いだ映画監督であり映画雑誌「シネ★マみれ」の編集長である切通理作氏が立ち上げた企画のようです。

ピンク映画の定義難しいですが、「大手以外で製作された(乱暴に言えばにっかつロマンポルノ以外の)成人映画」で大体合っていると思います。

東宝、大蔵、ミリオン…70~80年代には物凄い数の製作会社が予算300万、製作日数3日という鬼ルールの元、「もっとエロを!」な会社側と「もっとアートを!」な作家がギリギリの攻防を繰り広げておりました。

ここから、若松孝二渡辺護、小水ガイラ、高橋伴明滝田洋二郎といった人たちが生まれ育ち…。

今回はこれらレジェンドの作品から「ピンク大賞」の前身「ズームアップ映画祭」の第3回大会で第1位に輝いたこちらを。

「襲られた女」(1981年/高橋伴明監督)


読み方は「やられたおんな」。

何でも屋で糊口を凌ぎ、その日暮らしをしているひろし(山路和弘)とぜんさん(下元史郎)。

この二人を温かく見つめるミミ(忍海よしこ)。

ある日、ひろしが持ってきた(彼らにしては)大仕事。総会屋の大物・黒岩の淫行写真の撮影。

ミミも巻き込んで一芝居打ち、見事大金をせしめることに成功はしますが…。

若者と中年(いや、下元さんこの時まだ33歳くらいなんですけどね。後ろ髪とか剃って頑張って中年しています)とひとりの女。

冒険者たち」を彷彿とさせる人間関係。

やさぐれた負け犬たちが手にした束の間の幸せ…。

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ラスト、誰もいない公園で男ふたりが踊る「うぬぼれワルツ」。

『ひろし、わい、ミミちゃんと寝たど』

『そんなこと、知っとるがな』

♪あんた男前、わたしいい女、ラッタッタラッタッタうぬぼれワルツ…

そして突然のストップモーション

伴明監督の代表作と言っていいと思います。

伴明ピンクなら蘭童セルの「縛りと檻」も好きでした。

比較的最近のピンクならこれかな…。 

mandarabatake.hatenablog.com

 
余談ですが、ひろし役の山路さんって、今は声優もやっているんですね。「進撃の巨人 Season3」のケニー・アッカーマンって山路さんだったんだ…。



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 ★本日3月6日は「弟の日」

漫画家の畑田国男(1944~1996年)が1992年(平成4年)に制定。

薔薇族で「弟募集」って広告を見て以来、弟ってのは募集するもんだと思っていました(笑)。

映画で「弟」と言うと“難儀な兄をもって苦労する”イメージが(勿論、逆のケースも多々ありますが)。

お兄ちゃんで苦労する弟の代表はこの人かなあ。

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