電灯を点けると消えて、消すと居る。
明滅を繰り返すとその度に距離を詰めてくる影はなかなかに怖いものがあります。
on←←←(単純ゆえに結構怖い)→→→off
この得体の知れなさが最後までKEEPできれば文句無しだったのですが…。
「ライト/オフ」
(2016年/デヴィッド・F・サンドバーグ監督)
思いっきり「フェイス/オフ」をパクった邦題ですが、原題は「lights out」。
ママは病気みたいだ。いつも誰かと話している。
パパは会社で誰かに惨殺されて、今はママと僕とふたりきり。
お姉ちゃんがいたけど家を出ていった。
前のパパ(お姉ちゃんのパパ)もある日突然家を出て行ったらしい。
時々、暗闇の中に人影を見る。ママの友達、ダイアナ。でも明るい所では姿が見えない。
ダイアナはママを独り占めしたいみたい…。
元になっているのは2013年にサンドバーグ監督が発表した3分足らずのショート・ムービー(タイトルも同じ「lights out」)。
一発ネタではありますが、かなりビビります。
これを81分にブローアップしたものが本作。
「学校の怪談G」の短編「4444444444」とビデオ版「呪怨」の関係に近いですね。
81分は小ぶりな尺ですが、1本の映画にまとめるとなるとどうしても因果律が必要になってしまいます。
影の正体と動機、ママとの関係、属性と弱点、そして結末。
この“合理的な説明”がホラーの腰を折ってしまう(ダイアナの神秘性を損なって即物的にしてしまう)のは致し方ない事とは言え、残念無念。
ちょっと脳煩いのママにマリア・ベロ。
ダイアナを治療した精神科医の録音テープの中に「She has a history of violence」というマリア・ベロ繋がりの台詞がありました。
弟を守るために戻って来るお姉ちゃんにテリーサ・パーマー。
テリーサは「ウォーム・ボディーズ」が印象的でしたが「呪怨 パンデミック」にもチラっと顔出していますね。
健気に頑張る弟・ガブリエル・ベントマンくんは本作の後、リブート版「チャイルド・プレイ」で今度は人形に悩まされるという難儀な幼少期を送っております(合掌)。
因みにロケに使われた家は「呪い襲い殺す」「ウィジャ・ビギニング」と同じ家だそうです。
ちいっと分かり難いですが、確かに同じ間取りですね(下が「呪い襲い殺す」)。
続編作る気のようですが、「呪怨」街道まっしぐらにならない事を祈ります。
★ご参考