「俺ガイル」が終わり、「このすば」が完結し、今度は「ぼく勉」。
迎えた結末はうるかエンド。
前巻で大きくうるかルートに舵を切っていたので当然の帰結ではありますが、まさかこれがトゥルーエンドではなく「1周目クリア」に過ぎなかったとは…(今回は色々ネタバレしています。未読の方はご注意)。
「ぼくたちは勉強ができない COMICS第17巻」
(2020年6月4日発売/筒井大志著)
成幸の合格発表を待って本気の告白をしたうるか。
水泳特待生として海外留学が決まっているうるかの出発は卒業式当日。終了後、その足で。
うるかとどう向き合っていいか分からぬまま迎えた卒業式。この日、悪天候で午後の飛行機が軒並み欠航。
午前の便に乗らないと向こうの大会に間に合わない。卒業式は断念。
うるか欠席を知った成幸は自身も卒業式をサボタージュ、豪雨の中、飛行場へ。
何気に大森がいい奴なんだよなぁ…。
飛行機も欠航する雨なんだから当然電車もストップ。駅にはサボり生徒を回収に来た真冬先生が…。
ここからは「これでもか!」な王道展開。
空飛ぶ勢いでエンジン吹かすクレイジードライバー真冬。
『生徒のサボタージュに手を貸すなんて、下手したら減給ものよ。でも…』
答辞を成幸に重ね涙する文乃。その心情を察してもらい泣く緒方。
-ちゃんと成幸さんを幸せにしなかったら…遠慮なくとっちゃいますからね?-
渋滞に嵌った真冬からバトンを(バイクで)引き継いだあしゅみー先輩。
『ったく…たまたまアタシが死ぬほどヒマでよかったな』
そして空港。ボロボロになりながらうるかの元へ駆けつけた成幸は…。
卒業式直前、うるかの告白をどう受け止めていいか分からなかった成幸は父の墓前へ赴き、中学時代を回想しておりました。
はっきり言ってこれは反則。
物語開始以前のエピを意思決定のトリガーにするとは、デウス・エクス・マキナではないですか。
そして父(の幻影)のアドバイス。
『「憧れで」「太陽みたいな奴で」 大事な事はな成幸、そういう「言葉」の手前にあるもんだ』
「愛おしい」…文乃の父の心を氷解させたのもこの言葉でしたね。
うるかの前に立った成幸は自身のためにうるかの邪魔をさせてくれと。
この時の台詞って「俺ガイル」の比企谷八幡の告白と被るんですよねえ…。
『お前は望んでないかもしれないけど…、俺は関わり続けたいと思っている。義務じゃなくて、意志の問題だ。…だから、お前の人生歪める権利を俺にくれ』(比企谷八幡)
そしてうるかの夢『成幸の一番になる』は「冴えカノ」英梨々の『あんたの一番になってやる』と被ります。
英梨々の場合は“幼馴染は滑り台行き”の法則に則って戦線離脱をしてしまいましたが、うるかは…。
結局、さんざっぱらコキ下ろしたアニメ版のラストとシンクロしてしまったわけですが、やはり積み重ねるべきエピとフラグを全部端折ったアニメの〆は先走りの極みであったと思います。
これにて大団円…かと思いきや、うるかルートはあくまで1/5のクリアルート。何とここから全ヒロイン別個別攻略ルート「マルチエンディング/パラレルストーリー」が始まるという(嘘ぉ!)。
「冴えカノ」にも霞ヶ丘詩羽エンドを描いたスピン・オフ「冴えない彼女の育てかた 恋するメトロノーム」がありましたが、これを全ヒロインルートで再構築するとは豪儀千万。正に五等分の花嫁です。
話の分岐ポイントは文化祭後夜祭の打ち上げ花火。1発目の花火が打ちあがった瞬間、触れ合っていた男女は将来必ず結ばれる…。
これがもしうるかだったら…というのが今回のルート。これが緒方だったら? 文乃だったら? あしゅみー先輩だったら? 真冬先生だったら?
毎回タイトルに[x]という変数が入っていたのはこういう展開を想定してのものだったのか?
ただ、どうにもラブコメに発展する要素が見受けられない緒方ルートと、既に外堀が埋まっていて新しいフラグの必要を感じないあしゅみー先輩ルートはいらないかなぁ。
代わりに「関城ルート」と「店長ルート」が入れば言う事無しなのですが…(無理か。無理だよな。じゃあ水希ルート…ってもっと無理か)。
★ご参考
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★本日のTV放送【20:00~BSテレ東/シネマスペシャル】