本日6月14日はプロレスファンにとっては思い出深い暴動記念日。
第2回IWGP優勝戦のあった日です。
そもIWGPとは何ぞや。
池袋ウェストゲートパークの略では勿論なく、International Wrestling Grand Prixの頭文字。
「世界中に乱立するベルトを統合し、世界最強の統一世界王者を決定する」という猪木の稀有壮大な野望の元にブチ上げられたチャンピオンシップです。
世界各国を転戦してリーグ戦を行い、優勝戦をマジソンスクエアガーデンで行うという構想は世界規模の大人の事情でとん挫。最終的には国内ローカルなリーグ戦になってしまいました。
NWFヘビー級王座を返上、丸腰となって臨んだ猪木ですが、優勝戦でハルク・ホーガンのアックスボンバーを喰らって場外転落の挙句、舌を出して失神。
この失神が本当にアクシデントだったのか、国内ローカル戦のひとつとして軽く扱われる事を嫌った猪木が打ち上げた起死回生の花火だったのかは藪の中。
Wikipediaには「実際には夜中に新間寿が猪木を連れだし、そのままブラジルに渡航したいが為の演技であった」と記されています。
所謂“アングル”だったわけですが、ちょっと視点を変えて「坂口が書いたブック(ホーガンが仕掛けたブレーンバスターを反転でかわした猪木が、逆さ抑え込みか卍固めで勝利)を猪木が独断で変更した」と見れば“ある種のセメント”になる訳で(実際、坂口はこの後「人間不信」とだけ書いた紙を残して数日間失踪しています)。
この一筋縄ではいかない所が「う~んプロレス」。
という長~い枕を経て本題。
何としても前年の汚名を返上して優勝しなければならない猪木と、猪木がベルトを巻くことを信じて疑わない殺気だったファン1万3千人を呑み込んだ超満員札止めの蔵前国技館。
ディフェンディングチャンピオン、ハルク・ホーガンとリーグ戦を勝ち上がってきた猪木。
しかし裁定は17分15秒両者リングアウト。
本来ならここでホーガンの防衛成立になるわけですが、そんな事を許す観客はひとりもおりません。
国技館を揺るがす延長コール。
たまらず延長戦に突入しますが、エプロンで四の字がもつれて02分13秒両者エプロンカウントアウト。
狂ったような延長コールに押されて前代未聞の再延長戦突入。
ここからの展開は凄いよ。
場外でホーガンのアックスボンバーを喰らった猪木がリングインしようとエプロンに立った所を再びホーガンがアックスボンバーを狙って突進。
このままでは昨年の悪夢の再現。ヤバイ!と思ったレフェリーのミスター高橋が「社長危ない!」とばかりに猪木とホーガンの間に割って入り、ホーガンはロープ前の高橋、ロープ後ろの猪木を巻き込んで場外転落。
観客の誰もが嫌な予感に包まれましたが、事実は東スポより奇なり。やって来たのは予想の斜め上を行く長髪の悪魔。
突如、疾風の如く飛び込んで来た長州が猪木にラリアット一閃。
その勢いでホーガンにも一発。咄嗟にホーガンが右腕を突き出したのでリキラリアットとアックスボンバーの相打ちとなり、両者ダウン。
よろよろとリングインする猪木を確認するや、一足先に復活していたミスター高橋がマッハのカウント。03分11秒リングアウトで猪木の勝ち。
なんじゃそりゃああぁあぁ!!!
怒号が怒号を呼び、狂乱怒涛となった観客はリングに向かって座布団を投げ、飲料をぶつけ…こうなるともう歯止めが効きません。リミッター解除です。暴徒と化した客は垂れ幕を引きちぎり、会場備品をぶち壊し…。
遂には蔵前警察署のお出ましと相成りました。
長州の乱入は猪木の直接指令(拒否権無し)だったようで、この頃から猪木はボタンを掛け違っていたような気がします。
新日本暴動記念日。その初日。あれから36年。やはり昭和のプロレスは面白い。
★ご参考
--------------------------------------------------------------------
★本日のTV放送【13:00~BS朝日】