『もし、あなたが先に死んで、死後の世界があったら、何か合図をくれないか?』
(If you die first and there's life after death...Will you give me a sign?)
「ドクトル・ジバゴ」が『バラライカは弾けるかね?』という一言のために3時間を費やしたように、この映画もラスト1カットのための118分であったのだと思います。
(1980年/ウィリアム・ピーター・ブラッディ監督)
ベトナム戦争末期、精神に異常を来した兵士が大量発生。
軍は山奥の古城を利用した治療施設に彼らを収容。患者の中にはロケット発射寸前に発狂した宇宙飛行士、ビリー・カットショー大尉も。
彼らの多くが兵役を逃れるための仮病ではないかと疑った軍当局は、病状の真偽を確かめるべく、精神科医ハドソン・ケーン大佐を送り込みますが…。
舞台となる古城のシルエットが素晴らしい。霧にむせぶ広角ローアングルはちょっと「ヘルハウス」を思わせます。
冒頭流れるカントリーな曲(わが町サン・アントニオ)が「アメリカン・ニュー・シネマですか!?」な雰囲気を醸し出して手鼻をくじかれますが、これ「ローリング・サンダー」の主題歌ですよね。
ミュージック・コンポーザーはバリー・デ・ヴォーゾン。ベトナム帰りモノって事で狙っていたのでしょうか。
ケーン大佐は様々な種類の狂人に囲まれ、接し、理解と反発を深めていきます。
決して難しい話ではないのですが、何せ前半~中盤は100%狂人語りなので、ここで脱落する人多いかもしれません。この部分は2回目にこそ味が出ます。初回は我慢して流し観しましょう。
このローギアトロトロ運転が、終盤一気にトップ&ターボ。
そして終わってみれば、爽やかな余韻の残る感動作(狂気にも救済は必要)。侮れませんブラッディ。
見どころは豪華役者人。
ケーン大佐のステイシー・キーチ、カットショー大尉のスコット・ウィルソンは「センチュリアン」コンビ。
他にも「エクソシスト」カラス神父のジェイソン・ミラー、「悪魔の沼」のネヴィル・ブランド、「マニアック」のジョー・スピネル、「マニアック・コップ」のトム・アトキンス、「ヘルター・スケルター」のジョージ・ディセンゾ、「スカーフェイス」のロバート・ロジアなどなど。
面子の濃さがカルトの誉れを上塗りしています。
★ご参考~狂人病棟あれこれ。
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★本日のTV放送【13:00~BSプレミアム/プレミアムシネマ】
※放送されるのは「遠すぎた橋」。