『覚えているか? ルース亡き後、君が決行すると言った事を』
『??…いや』
『覚えていいなくてもいいさ。君が覚えていられるように私が全部書き出した』
介護施設の友人マックスから預かった1通の手紙。
そこに記されていたのは4人の名前。名前は全てルディ・コランダー。
4人の内3人は正真正銘ルディ・コランダー。ただし1名はルディ・コランダーの名前を使ってアメリカ人に成りすましたドイツ人。
元ナチ親衛隊アウシュビッツ収容所ブロック長、オットー・ヴァリッシュ。自分とマックスの家族を殺した男。
手紙はさながらオデッサ・ファイル。
「手紙は憶えている」(2015年/アトム・エゴヤン監督)
ゼヴ(クリストファー・プラマー)、90歳。認知症。物忘れは日増しにひどくなり、1週間前に妻ルースが死んだ事も思い出せません。
しかし、車椅子に頼っている親友マックスのため、何より自分自身のためにこの復讐はやり遂げなければ…。
施設を抜け出し一人旅。リストに記されたルディ・コランダーを一人一人訪ねて回り、当たりを引いたらぶち殺す。
旅のお供はグロック17。おいおい、ルディはカナダにもいるぞ。陸路だって入国審査はあるだろう、グロック持ったままどうやって入国…ってそんな簡単な方法でいいのか。
眠りにつく度に記憶が遡行逆行混濁混合。ちょっとしたうたた寝でも目覚めた瞬間、妻ルースを探し求め…(切ないなぁ)。
腕に書かれたメモ『手紙を読め(read letter)』を見てようやく自分が何をしようとしているのかを認識(まるで「メメント」だ)。
最初の二人はハズレ。三人目は既に他界。出迎えてくれた愛想のいい息子(警官)は…ナチ信奉者でした。
アウシュビッツの記憶は過去のものと思いきや、最悪の形で脈々と受け継がれている衝撃。
残るは独り。この男こそ間違いなくオットー・ヴァリッシュ。家族の仇。しかし…
勘のいい人は気がついちゃうと思いますが、いいオチだと思います。いくつかの疑問や不整合はありますが、クリストファー・プラマーの存在感の前ではどうでもいいことです。
本作で一番印象に残ったのはショッピング・センターでの買い物シーン。
着替えを買ったゼヴですが、商品タグが外れていなかったため、出口でアラーム。
警備員が鞄を検めるとグロック17がこんにちは。
日本ならここでもうアウトですが、アメリカは違います。警備員はニコリとほほ笑んで、
『グロック? 私が最初に買った銃だ…。Have a nice day, Sir.』
銃社会なんだなぁ…。
★本日8月29日はウィリアム・フリードキン監督(1935年)とスタン・ハンセン(1949年)の誕生日(おめでとうございます!)
まずはフリードキン関連を2本。
続いてスタン・ハンセン関連を2本。
★本日のTV放送【19:00~BS12/土曜洋画劇場】