<やっぱり言葉は出ない。言葉なんて出ない。
好きだなんて、たった一言じゃ言えない。
それ以前の話で、それ以上の問題で、それどころじゃない感情だ。
あたしは…あたしたちは…初めて本当に恋をした>
青春ラブコメを冠していながら、当事者の口から「恋」という言葉が出たのは初めてかもしれません。
「たった一言」への遠い道のり、冗談じゃない遠回りがようやく…。
「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。-完-/第11話・想いは、触れた熱だけが確かに伝えている。」(2020年9月17日深夜TBS放送/鈴木龍太郎演出)
※今回はいつにも増してネタバレしています。未見の方はご注意を。
第10話はプロム本番。が、見せ場でありながら描写はあっさり(実はクライマックス前の前哨戦みたいなものですし)。
つつがなく終了したプロムの裏で、雪ノ下陽乃は雪乃の決意(父親の仕事に関わりたい)を「代償行為」と断罪。
共依存の果てに本来の目的が達せられなかった事を埋め合わせる代償行為にすがる。それが雪ノ下の結論だとしたら、そんな偽物を認めるわけにはいかない。
≪だからせめてこの模造品に壊れる程の瑕をつけ、たった一つの本物に…≫
比企谷は、当て馬企画として立ち上げ、お役御免となったダミープロムを「海浜総合高校との合同企画」として正式公表。
生徒会のあずかり知らぬところで動いている合同プロム企画に驚愕&ご立腹の一色いろは。
連行された(裁判前に有罪が確定している比企谷下請け部隊の)材木座、秦野、相模と(裁判官兼判事兼弁護士の)一色いろは。
責任者は絶賛お呼び出し中。相手は勿論雪ノ下母と雪ノ下姉(例によって雪ノ下姉に情報のリークを依頼したのですがアニメでは割愛)。
取り調べに、有志による企画とうそぶき、保護者会の干渉を排した上で、実行責任者に雪乃を推す比企谷。
前回に輪をかけて金も時間も人手も壊滅的に足りない無茶ぶり企画。
『それともご息女の資質をお疑いですか?前回のプロムに何かご懸念でも?』
このシーン、原作では比企谷のその場凌ぎで勢い任せな詭弁が冴えわたる所ですが、最小限に短縮。だってここで尺とったら次の告白シーンに影響が出ちゃいますからね。
比企谷の安い挑発にわざと乗って、雪乃が合同プロムの収拾を図ることでこの場は決着。
その帰り道。
『なんであんな無茶な事言い出したの?』
『あれしかお前と関わる方法がなかった…』
『は!?』
『部活が無くなるともう接点はないからな。引っ張り出す口実が他に思いつかなかったんだ』
『何でそんなことを…』
『距離を置いたらそのままどころかもっと離れていく自信があるぞ…だから!手放したら、二度と掴めねぇんだよ!』
『お前は望んでないかもしれないけど、俺は関わり続けたいと思っている。義務じゃなくて意志の問題だ。だから、お前の人生、歪める権利を俺にくれ』
大きな影響はなくとも、関わり合えば何かが歪む。対価は時間、感情、将来、人生。
『私、多分、とても面倒な人間だと思うわ』
『知ってる』
『とにかくずっと迷惑をかけてばかり』
『今更だろ』
『頑固で可愛げもない』
『まあ、そうだな』
『そこは否定して欲しかったけれど…』
『無茶言うなよ』
『それから!』
『いいよ。どんなに面倒くさくてもいい。厄介でもいい。逆にそこがいいまである』
『何それ。全然嬉しくない…他にあるでしょ』
『人生歪める対価には足りないだろうけど…まあ全部やる。いらなかったら捨ててくれ。面倒だったら忘れていい。こっちで勝手にやるから返事も別にしなくていい』
『私はちゃんと言うわ…あなたの人生を私にください』
ずっとこのシーンが観たかった。満足です。
特殊EDは雪ノ下雪乃独唱バージョン。最後に「監督 及川 啓」のテロップ。
演出担当ではなく監督名がこういう形で刻まれるのは初めてなんじゃないでしょうか。作り手の気合を感じます。
次で終わりかぁ。名残惜しいなぁ。
おまけ
実は一番ドストレートだったのは平塚先生でした(笑)。
★原作ラノベのレビューはこちら。
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★本日9月19日は「アイスマン発見の日」
1991年のこの日、アルプス山脈の氷河で、約5300年前の男性のミイラ「アイスマン」が発見されました。
素直に関連作を考えると、4万年前のネアンデルタール人と若き人類考古学者の交流を描く「アイスマン」(1984年…って本家発見前か)ですが、今日はちょっとひねくれてこちらを。