『どこか行きたいとかあるの?』
『な、名古屋に行く!…とか、えと…遠いかな』
『名古屋…あははは、ははは。
なるほど。そういう風にできているんだねえ』
多少遠回りをしても、無駄と思える手順を踏んでも、世界は収まる所に収まるようにできている。
そう、宇宙には法則があります。
「安達としまむら/第9話・そして聖母を抱擁する愛 マリーゴールド」(2020年12月4日BS11放送/山本隆太演出)
バレンタイン当日。チョコを買いに名古屋まで行くという安達に何故かしまむら上機嫌。
名古屋までの電車旅20分。暇つぶしは「しりとり」。
『リンゴ』『五目そば』
『何か渋いな。ば…バスケットボール』『る…ルイベ』
『るい…だから渋いぞ、安達』
しりとりと言えば「ゆゆ式」の『カール・ゴッチ』『ち…チュパカブラ』が横綱ですが、あだしまもなかなか。
因みにルイベというのは刺身用に凍らせた生鮭の事です(アイヌ語)。
しりとりの締めはアイヌ、ではなく『アイス』『す…(安達妄想チャクラ全開。す…好き!しかし口に出たのは)すぅぎゃぇ!』
『何かなそれは?』『す…寿がきや』『あ、噛んだのか』
『ありがとう、寿がきや』
寿がきや(本社:愛知県豊明市)は東京支店もあるし、うちの近所のスーパーでもカップ麺を置いているぞ。12月の新商品は「冬季限定コク塩ラーメン」だ!
そうこうしているうちに名古屋。しまむらに促されるまま行列の出来る人気店でチョコ買ってミッションコンプリート。
いざ交換の段になって、しまむらのカバンから出てきたチョコは今安達が買ったお店と同じ包装のもの。
実は前日、樽見にインターセプトされたしまむらは、このお店で安達へのチョコを買っていたのでした。
ただ、久しぶりに会った元親友とは旧交を温めることも出来ず、時間も距離も離れたまま、重く気まずい空気が流れただけ。
モヤモヤした気持ちのしまむらに安達が名古屋に行こう、と。チョコを買いに行こう、と。まるで昨日のリマッチの機会をくれたかのように。
同じ電車(ひとつ空いていた席も同じ場所)、同じ店。樽見とは駄目だったけど安達となら…。
時系列に並んだ原作をいい感じに解体して並べ替え。お上手です。
そして名古屋にはしまむらが意図せずに仕掛けたサプライズがありました。
何気に申し込んだ占い番組のキャンペーン企画。安達が名古屋に行くと言い出さなければ、二人で目にする事はなかった電光掲示板。これも宇宙の法則か。
同時にしまむらのフルネームが分かった瞬間でもありました(島村抱月!何と文学的な…)。
感動のあまり、無言でしまむらに抱き着く(ベアハッグを仕掛ける)安達(恐らく心中では「きゃうぅ~ん!」と啼いていた事でしょう)。
『無言でいきなり抱き着くの禁止ね!』
『は…はい…え、いいの!? 許可を取れば、あの、こう(抱きしめる仕草)とか?』
前のめりポジティブ・シンキングだな安達!
『え!? 抱き着きたいの?』
『…うん』
『あー…何で?』
聞くなよ、んなもん決まってんだろ、言わせんな恥ずかしい。
『えと…あったかいし…あ、あったまろう!』
『ま、いっか。よし来い、やぁ~!』
ハッピーバレンタイン安達。
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★尊くも百合百合しい話の後で恐縮ですが、本日12月6日は、鶴田浩二(1924-1987)の誕生日にして、山下耕作監督(1930年~1998年)の命日。
山下&鶴田と言えば「あゝ決戦航空隊」ですが、何度も引用しているので、今日はこちらで行きましょう。