デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

【垂直落下式バッドエンド】ひぐらしのなく頃に 業/祟騙し編・其の壱~伍【意味がわからないよ!】

f:id:zombieito:20201226113520j:plain

『圭一は1しか出ないはずのサイコロの目を6に変えてみせたのです。それはとても凄くて、普通ではありえない事なのです。つまり…圭一の勝ちなのですよ』

梨花満面の勝利宣言…なのに何故こんなに不安感だけが増して行くのでしょう。

オリジナル「祟殺し編」は、沙都子の虐待問題に始まり、有毒ガスの噴出による雛見沢全滅という特大スケールのバッドエンドで幕を閉じました。

今度こそ惨劇は回避できるのか。

ひぐらしのなく頃に 業/第9~13話(祟騙し編・其の壱~伍)」(2020年11月26日~12月24日BS11放送/川口敬一郎監督)

行方不明だった北条沙都子の穀潰しの叔父・鉄平がリターン・トゥ雛見沢。

身寄りのない沙都子が引き取られたまでは良かったのですが、待っていたのは虐待の日々。

沙都子を救出すべく一肌脱ぐ圭一ら、という図式はオリジナルと一緒。

特に「其の壱」「其の弐」はほぼリテイクと言っていい被り具合。

分岐が起きたのは「其の参」から。

祟殺し編」では、圭一が(高校生にしては)用意周到な(訂正。やっぱりザルな)準備の元、鉄平を撲殺して林に埋める…のですが、いつのまにか死体は消失。

他のエピと色合いが異なるのは大石刑事が悪徳刑事で、恫喝と暴力を織り交ぜて圭一を追い詰めてくるところでした。

結局、鉄平は生死不明のまま。何故か圭一が呪詛を吐きかけた人間(入江所長や大石刑事)が次々死ぬか行方不明になる不思議現象。

圭一は何とか沙都子に幸せになって欲しかったのに、錯乱した沙都子の手で吊り橋から突き落とされると言う浮かばれないにも程がある最期。

f:id:zombieito:20201226114026j:plain


落ちながら村全体を呪ったら有毒ガス噴出で雛見沢壊滅。

それが今回は完全正攻法。児童相談所に沙都子の救出を陳情(つまり「解」の「皆殺し編」に沿った展開)。

が、役所は「しばらく様子を見る」の一点張りで動く気配なし。

部活メンバーだけで足りないなら生徒全員で。それでも駄目ならご近所に声をかけて。

f:id:zombieito:20201226114114j:plain

次々に膨らんでいく陳情集団。


しかし、役所は権力で村長に揺さぶりをかけ、ストップ圭一作戦を展開。

圭一は村長を説得し、さらに裏で雛見沢を牛耳っている(両親がダム建設推進派だった北条沙都子を救う事に抵抗がある)園崎家当主・お魎に捨て身の直談判をかましてこれを落とし、結果、お魎の口利きで市議、市長まで動き、児童相談所に重い腰を上げさせます。

小気味良い展開です。ひょっとしてこのままハッピーエンドになるんじゃないかとさえ思えました。

でも何故でしょう。ハッピーエンドのフラグが立てば立つほど、不安と焦燥と疑念がムクムクと…。

児童相談所の訪問に激高した鉄平を同行していた大石刑事が現行犯逮捕。沙都子にも笑顔が戻ってなにもかもうまく行ったかに見えましたが…。

最後の最後にドミノ倒しのような雪崩式バッドエンド。何故そんな事に…。何がどうなればそのような結末に辿り着くのか。

f:id:zombieito:20201226114237j:plain

『私は何を見たの!? あんなの、意味がわかんないよ!』(レナ)

いや、本当に虐待はあったのか?という根源的な疑問すら(沙都子のシャワーシーンはサービスカットではない)。

f:id:zombieito:20201226114352j:plain

急に露出の多くなった服を着る沙都子(左下は虐待を疑われていた時のもの)。


虐待の真相、沙都子の口から(圭一だけに電話で)告げられた鉄平逮捕の瞬間、レナの口から語られた綿流し当日の事の顛末(大石刑事が境内で拳銃乱射して関係者皆殺し…のように聞こえますが本当にそうか?)、肝心なシーンは一度も画面に出ていません。真実は藪の中。

不可解を煮込んで煮〆て祟騙し編は幕(解答編はあるのでしょうか)。

次回は「暇騙し編」…ではなく「猫騙し編」。つまり元ネタは外伝である「猫殺し編」。

OVAはオリジナル版のDVD全巻購入特典だったので観る術無し。

真っ白な気持ちで楽しみたいと思います。

 

 

f:id:zombieito:20201222210501g:plainランキング投票です。よろしければワンポチを。

 

---------------------------------------------------------------------

★本日12月27日はアラン・ベイツ(1934~2003)の命日。

個人的注目作は…。