デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

【俺は進み続ける】進撃の巨人 The Final Season ♯5(通算64)【敵を駆逐するまで】

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『エレン…どうやって…何しにここに来た?』

『お前と同じだよ。わからないか。お前と同じだよ。
 仕方なかったって奴だ』


エルディア人居住区の地下室。エレンとライナー、4年ぶりの邂逅。

外は喧噪。野外劇場の舞台裏。間もなくタイバー家当主ビリーによる演劇型大演説が始まります。

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『幕が上がったようだ。聞こうぜ』


宣戦布告の始まりです。

進撃の巨人 The Final Season/♯5(通算64)・宣戦布告」(2012年1月10日深夜NHK放送/林祐一郎監督)

ビリーが語り始めたのは巨人にまつわる現代史。

巨人の力を以て世界を平伏させたエルディア人は同族同士でいがみ合い、最後にはマーレの英雄ヘイロスによって打倒され、エルディア人の多くはパラディ島に追いやられた。

しかし、パラディ島には今尚世界を踏み潰せる幾千万の巨人が眠っている。

『聞いたか、ライナー。あれが壁を破壊した理由だろ。お前たちは世界を救おうとした。そうなんだろ?』

続けてビリーは世に知られていない巨人大戦の真実を。

エルディアの敗北と国王のパラディ島幽閉はマーレでもタイバー家でもヘイロスの力でもなく…全てはエルディアの国王カール・フリッツの自作自演でした。

フリッツの望みは平和。不戦の契りを生み、代々始祖の巨人を継承する者を縛る。滅ぼしに来ると言うのなら逆らわず滅ぶ。だから壁の中で束の間の楽園を享受させてほしい、と。

つまり、本来であればパラディ島は永久放置で構わなかったはずなのですが…。

今改めてパラディ島を攻略しなければならない理由、それはエレン。

王家の血筋は始祖の巨人を継承してもフリッツ王の不戦に契りに縛られ、その力を行使することはできませんが、王家以外の人間が始祖の巨人を手に入れれば…。

超大型巨人群による襲撃「地鳴らし」が発動されるかもしれません。

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『一度地鳴らしが発動されてしまえば、我々に出来る事はもうありません。人類はただ終末の足音に震え、逃げ惑うのみ。あらゆる都市や文明は踏み潰され、文字通り全ては平らな地表と化すのです』

ここ、エレンの「俺はお前と同じ」「世界を救う」、アバンでベルトルトが言っていた「あのおじさんはきっと誰かに裁いてほしかったんじゃないかな」と並んで終盤の大伏線となるキーワードです。

『あの日、壁が破られ、俺の故郷は巨人に蹂躙され、目の前で母親が喰われた。何故だ、ライナー。何故あの日、母さんは巨人に喰われた?』

『それは俺たちがあの日、壁を破壊したからだ…』

その目的は、混乱に乗じて壁内に侵入し、フリッツ王の出方を見つつ、始祖の巨人を奪還し、世界を救うこと。

『そうか。世界を救うためだったら、そりゃ仕方ないよな』

本当は壁の中も海の外も同じなのに、島の奴らは悪魔だと叩き込まれて育ったライナー。

『なあライナー、お前ずっと苦しかっただろ』

『違う!違うんだエレン!』

ライナーの慟哭。贖罪。希死。舞台ではビリーが全世界への協力要請と共にパラディ島に対する宣戦布告を高らかに。

『やっぱり俺はお前と同じだ。多分、生まれた時からこうなんだ。俺は進み続ける。敵を駆逐するまで』

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手を取り和解したかと思わせて、変身。咆哮と共に罪なき民間人の住居を一瞬で瓦礫に変えて進撃の巨人登場。ビリーを引き裂きながら天空に放り投げ…。

それはエレンの宣戦布告。

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いやホントこのタイミングの素晴らしさよ。分かっているのに戦慄にも似た興奮を覚えました。

 

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★本日1月13日は相米慎二監督(1948~2001)の誕生日。

相米監督と言えば無謀とも言えるワンシーン・ワンカット。お気に入りは「ションベン・ライダー」と「魚影の群れ」…なのですが、どっちもレビューしておりません(本当に好きなのか?と自問自答)。

今回は死後脚本関与が発覚したこちらの作品を。