『小桜さん…凄い勢いだった』
『ホント…よく食べたね』
前回、小桜さんを裏世界に置いてきぼりにした代償はエンドレス説教だけでは済まず、居酒屋喰い放題という対物供与にまで発展したようです(店の看板、caféになっていましたがcaféで「炙り〆鯖」は出さんだろ)。
3人で飲み食いしてお会計1万9千と8円也。
という冒頭シーンで過去の飲み会がフラッシュバック。
会社の同僚3人で軽く1杯。オタク話に花を咲かせて会計タイム。
伝票受け取った奴に『幾らだった?』
『ええっと…2万4千…』
『待てい! このテーブルを見ろ。ハイチェア用の丸テだぞ。ここにどれだけの料理が並んだっちゅーの? ちょっと伝票上から読み上げてみ』
『はい…えっと、大生29杯…』
『あ、もういいわ』
ビール代だけで鳥子らを凌駕。
オタクは趣味の話になると時間も金もアルコール摂取量も忘れるんですねえ…。
「裏世界ピクニック/第5話・ステーション・フェブラリー」(2021年2月1日深夜BS11放送/矢野孝典演出)
今回から大ネタ「きさらぎ駅米軍救出作戦」(の前哨戦)に突入…なのですが、その前に本作の恐怖描写についてちょっとだけ。
前回、怪異に憑りつかれた鳥子が
『私たちは本当に怖がらなくてはならない。怖がって怖がっておかしくなるくらい。どんな生き物も怖がるけど、恐怖を創造して使いこなせるのは人間だけ。だから彼らは恐怖を通してアクセスしてくるの。彼らはあまりに異質で理解不能だから、私たちが接触するチャンネルは恐怖という情動しかないの。恐怖がコンタクトの手段で目的なの』
と語っておりましたが、これって黒沢清じゃん。「回路」じゃん。
この世ならざる者はどう見えると怖いのか。
「回路」は小中理論とは一線を画する黒沢清の恐怖論文。異界に侵食される現実社会というデストピア。
現実と非現実は境界がはっきりしないから怖い。ここから先は非現実…ではなくて気が付けば非現実。
ただ、予兆はあります(じつはこの予兆の瞬間が一番怖い)。
『くびりやらいので、あぶらがらすがきます』
居酒屋店員の謎の言葉。空気感が変わっている店内。
切っ掛けは鳥子が裏世界から持ち出した八尺様の帽子を被ったこと。
そう言えば「うる星やつら」で諸星が非常識な行動(ラムの星の目薬をジュースと勘違いして一気飲み)が原因で夢が現実を侵食してくる話がありましたね(第151話・退屈シンドローム! 友引町はいずこへ!? )。
ま、こっちは不条理ギャグですが…。
始まりはいつも非常識(な異世界との接触)。
池袋を歩いていたはずの鳥子と空魚ですが、気が付けば裏世界。
最早、入口も出口も関係なくなりましたね。招集通知は向こうから。
出くわしたのは謎の巨大生物と訓練中に裏世界に迷い込んだ沖縄の在日米軍(マリーン)。
彼らが拠点としているのが無人の駅舎「きさらぎ駅」。
キャンプを見渡せば相当な人数(大隊まるごと?)。
百合かホラーか都市伝説か、と思わせてまさかの戦国自衛隊(いや「GATE」か)。
これ、ゾンビものだったらロクな事にならない展開ですが、こっちは大丈夫でしょうか。
★ご参考
★本日2月4日はアリス・クーパー(1948~)の誕生日(おめでとうございます!)
この人、ちょくちょくこっち側の映画に顔出してくれますが、どれも低予算もので「これ絶対ギャラ(ロクに)貰ってないだろう。下手したら手弁当?」なものばかり。
良い人なんでしょうねぇ、きっと。