『ニュースを伝えて20年。ゾンビなんかに邪魔はさせない。マービン・クロウトが生放送でお届けします』
致死性のウィルスが原因でゾンビまみれとなった地球各地を繋いで送る人類最期の「ゆく年くる年」。
もしくは、ネタと広報と中継で綴る「新春爆笑ゾンビ寄席」
…すみません、褒め過ぎました。
「ゾンビワールド」(2015年/監督総勢14名)
オムニバスのゾンビもの全10篇。
「う~ん」が5、「ま、いっか」が3、「当たり」が2。全体としては「負け越し」ですが、当たりの衝(笑)撃が大きいので、観終わった感想としては「拾い物」。
当たり其の壱「FIST OF JESUS(イエスの鉄拳)」
(デヴィッド・ムニョス&エイドリアン・カルドーナ監督)
ヨハネによる福音書に記されている「ラザロの奇跡」。
死後4日経ったラザロをイエスが復活させた、というお話ですが、このラザロがゾンビ化して大騒ぎというウルトラ罰当たりな一遍。
『復活させて注目の的になりたかったのでは?』
『初めてなんだ。失敗して当然だ』
ユダを連れてトンズラこくイエスですが、パリサイゾンビとローマ軍ゾンビとカウボーイゾンビ(何でだよ!?)に囲まれて絶体絶命。
武器はユダが持っていた魚一匹。これが二匹になり三匹になり…。
これも各福音書に書かれている「五つのパンと二匹の魚を増やし五千人の人々に食べさせた」というイエスの奇跡が元になっていますが、ここでは「これでも喰らえ」とばかりに魚手裏剣。
投げる、刺さる、殴る、砕く。
最初はちょっとデカイだけの普通の魚でしたが、そのうちこれがピラニアになりカジキマグロになり、カジキから引き抜いた骨が剣になり(書いていてアホ臭くなってきました)。
他のエピにも言えることですが、ゴアシーンが無駄に力入りまくり(しかも手作り)。
ある意味「ブレインデッド」と肩を並べたんじゃないかと錯覚しそうな人体パーツと血糊の学園祭でした。
途中挿入される「サバイバル・マニュアル」は「ゾンビランド」な趣き。
そして掉尾を飾るのが
当たり其の弐「BLUTAL RELAX(残忍なる寛ぎ)」
(デヴィッド・ムニョス&アダム・オブライエン監督)
とあるリゾート海岸。医者の勧めで「心落ち着けるために」やって来たつぶらな瞳のちょっとファットなハゲヒゲ親父。
そこに海からゾンビ軍団がこんにちは。
例によってゴア命な特撮祭り。
お前、もうゾンビじゃなくてショッカーの怪人だろ。
殺戮の祭典を和やかに見守るハゲ親父でしたが、聴いていたウォークマンが故障でストップ。
どうやらこのおっさん、些細な事で暴力衝動のスイッチが入ってしまう困ったちゃんだったようで、お気に入りの音楽が止まった途端、見境なく暴れる大魔神に。
終いにゃ子供の死体をヌンチャクのように振り回し(ヤバイ、ヤバイでぇ)、リゾート血の海、死体貝塚。
おっさんが聴いているいかにも南国リゾートな音楽が凄くいい感じで、エンドクレジットでこの曲が流れただけで笑ってしまいました(安いパブロフの犬だ)。
ゴアと不謹慎と罰当たりな描写が気にならなければ、そこそこ楽しめると思います。
★ラザロを冠した映画と言えば…
★元祖サバイバル・マニュアルと言えば…
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★本日2月23日はピーター・フォンダの誕生日(おめでとうございます!)。
ある意味、「イージーライダー」のイメージ1本で生きていると言っても過言ではないミスター星条旗。本日は飛び道具混じりなこの3本立てで。