『じっちゃが死んだっきゃ、俺の音もねぐなった。
こごさもう、好きな音がねぇ…。なぁ~んにもねえ』
青森。16歳の津軽三味線奏者、澤村雪(さわむらせつ)は師匠であるじっちゃの死で「自分の音」を見失い、突発的思いつきで東京へ。
待っていたのは…。
「ましろのおと/第1話・寂寞」
(2021年4月2日深夜BS-TBS放送/村田尚樹演出)
東京は光の海(何故いきなり六本木へ行った?)。
光酔いした雪はよろけてやくざ屋さんとごっつんこ。都会の洗礼タコ殴り。
目の覚めるようなハイキックで助けてくれたのはグラビアアイドル兼キャバ嬢の立樹ユナ。
アニメでは「窮地を見かねて」の助っ人参戦でしたが、原作ではやーさんが雪の持っていた三味線ケースに手をかけた事に対する義憤(彼氏がミュージシャンなので楽器に手を挙げる奴は許さない)によるものでした。
にしても見事なハイキックだ…。
アニメではボコられて気を失った雪をユナが自宅に搬入…でしたが、原作では勢い余ったユナのキックが雪を誤爆。そのまま気絶した雪を自宅に搬入という謝罪的意味合いが加味されておりました。
行動には理由があった方が観ている方は得心しやすくて良いです(アニメだとユナの行動原理が博愛主義的コスモポリタニズムに貫かれているように見えてしまう)。
成り行きでユナのアパートに居候することになった雪。
一応、無事であることを実家の兄・若菜に手紙で報告(電話しろよ!)。
『なあ…東京ってどごは…グラビアアイドルがごろごろいて、簡単に一緒に住めるどごなんだべか?』
『何言ってらんず。んな訳ねぇべ』
『んだよな…雪!何しに東京さ行った!?』
兄の慟哭、察するに余りあります。
ユナは芸能活動思うに任せず(オーディション落ちまくり)、残る仕事はAVのみというズンドコの状態で彼氏(インディーズバンドのボーカル、タケト)が追っかけ女子と寝ている所を目撃して下痢腹に浣腸。そのまま音信不通に。
ユナの行方が掴めずイラ立ったタケトはライブ会場の控室で「今すぐ来ないと雪の腕をへし折る」とメール。
光の速さで現れたユナは問答無用でタケトみぞおち前蹴り祭。
スネたタケトはグズってライブ放棄。
『雪くん、巻き込んでごめん。もうひとつ巻き込まれて』
三味線を掴んだ雪はタケトらのファンが待つライブ会場のステージへ。
『え~っと…前座…です。主役の登場まで、畑違いの音楽で悪いけんど…じょんがら節、演ります』
じっちゃ…俺…うまく弾けるべか?
流れ、響き、弾け…会場を支配する雪のじょんがら。
その音色は津軽の雪景色を幻視させ…。
後日譚。芸能界を諦めて東京を去るユナ。アパートの契約が切れるまでユナの部屋に留まる雪ですが、何故かこの部屋に入り浸る人間がもうひとり。
『何でいつもタケトがいんだ?』
『なぁんか落ち着くし~。あ、コーヒーくれ』
なんだよ、仲良しさんかよ。
三味線がお前を生かすんだとしたら、いずれ自分の意志と関係なく、その世界に引っ張っていかれるだろうと言うタケト。
自分が好きで弾く以外興味ねぇという雪の台詞を遮って激しいドアノック。
『雪!いるんだべ!?』
『う…梅子!』
『…突撃』
爆破されるドア(器物損壊!)、突入してくる武装兵士(SWATかよ!?)。その後ろにいるのは…。
『ベイビーちゃん…ママが迎えに来たわよ』
何この展開。誰このキャラ。名実ともに飛び道具。ここまでの流れをぶった切る力任せな場面転換。
どうなるの来週!?
★うむ、ちょっとこれ観て落ち着こう。
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★本日4月6日は川内康範先生(1920~2008)の命日(合掌)。
日蓮宗の寺に生まれ、戦没者遺骨引揚運動を興し、福田 赳夫の秘書を務め、「月光仮面」をはじめとする様々なテレビヒーローを生み出し、「おふくろさん」をはじめとする昭和歌謡の名曲を世に送り、機動隊の応援歌を作詞する一方で稲川会の歌も作詞した全編異色の人。
代表作はやはりこれだと思います。