『分からない…分からない!澤村雪が本気の音を出したらどうなるか…分からない!』
聴く度に音像の変わる雪の三味線に困惑する神木清流。
分からないなら聴きに行けばいい。
聴くだけで足りなければ引き出してやればいい。
それができるのは自分だけなのだから。
「ましろのおと/第5話・合奏」
(2021年4月30日深夜BS-TBS放送/渡辺正彦演出)
成り行きで津軽三味線愛好会に入ることになってしまった澤村雪。
当面の目標は母・梅子の謀略で企画された「全国高等学校津軽三味線甲子園 松吾郎杯」。
愛好会の発起人である前田朱利の懇願で指導まで担当することになった雪ですが…。
幼少より、天才と謳われた祖父松吾郎の三味線(だけ)を聞いて盗んで会得してきた雪にとって、ウルトラ初心者のメンバーに基礎を教えるのは至難の業(そもそも雪は楽譜も読めない)。
その苛立ちはやがて自分自身に向けられ…。
『分からない…俺の音は誰の音だ!? 分からない…分からない…何にも囚われていない音に…なりてえ!』
目指した音がなくなった事で目標がただのしがらみになってしまったと感じている雪。
部内の不協和音の相談を口実に神木清流にアプローチする顧問の小薮啓子。
練習の様子見とアドバイスを口実に部室を訪れた神木清流。
いや、これもう完全に「来ちゃった♡」って奴でしょう。
団体課題曲(津軽じょんがら節・新節)が弾けるのは雪だけなので、雪の演奏を聴くことに。
『ここまで来てしまったのは好奇心からか、焦燥感からか…』
また手を抜くのでは?がっかり演奏なのでは?という周りの不安をよそに、最初の一音から本気(雪にとっては通常運転)モード。
普段とまるで違う音にざわめく部室。
『なるほど…君は本当に気まぐれだねえ。でも、まだまだ』
自らの三味線を取り出して途中参戦してくる神木。
『君が我儘だから…好きにはさせないよ』
『何だ、この感覚は…相手の音に後押しされていく。自然に音が跳ねる。跳ねる。跳ねる! これが…合奏!』
敢えて神木節を封印して基本だけで合わせて来た神木。結果、神木に合わさせられた雪。それは決して悔しい感覚ではなく…。
『引っ張り出すどころか、勝手にこちらから出てしまった。仕方ない。気持ちは押さえられなかったんだから』
今回は神木の台詞に妙にヤバイと言うかやおいチックなものを感じてしまいました(薄い本の人が捗りそう)。
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★本日5月4日は寺山修司(1935~1983)の命日(合掌)。
高校の時に講演会を聴きにいったなぁなんて事を思い出しつつ…