ここはアメリカ、メイン州。
「メイン州ってどこだ!?」という方はこちら↓参照。
見ての通りどん詰まりです。本土側ですらそうなのに、舞台はここから60km離れた孤島。
物資運搬船が止まれば、食も燃料も命も尽きる最果ての町。
何も無くても人生終了オープンリーチなこの島に、食欲旺盛な新種の生物が団体さんでこんにちは。
「アイランド・ゼロ」
(2018年/ジョシュ・ジェリッツェン監督)
最近魚が獲れねえなあ。網にかかるのはせいぜいクラゲ。今、冬だぜ。
臨時で駆り出された女医、新作の取材で島を訪れていた小説家、あまりに何もない島の暮らしに飽き飽きして本土に戻る決意をした人妻。
クリスマス前に島を出ようと本土行きのフェリー乗り場に集まる人々。
しかし待てど暮らせどフェリーは来ない。翌日も、その翌日も。
確認のために漁船で本土に向かった漁師はそのまま帰らず。
電気途絶え、電話通じず、ネットワークも繋がらない。
このままでは食が尽きる。燃料が尽きる。待っているのは酷寒と闇。
海の中に何かがいる。なら陸地は安全かと言うと、ご自宅で白骨化している奥様が。
ごちそうさまでした。
撮影で使用した家具やら服やらはメイン州周辺のリサイクルショップ(グッドウィル)で調達したそうです。
つまりそれくらいのバジェットしかないウルトラB級映画。
この予算枠で「物体X」で「プレデター」で「クトゥルフ」な物語を紡ごうってんだから、大概通り越して天晴れと言うほかありません。
※後から気がつきましたが、キャッチコピーは「Every THING needs to eat」でした。
金の掛からない部分はそれなりに工夫の跡が。
元軍人の女医さん、亡き妻が残した「新種の生物による漁村崩壊の仮説」を立証しようとしている海洋研究科などキャラ立ちはまずまず。
新種の大喰いさんは、天然の光学迷彩を纏っているため肉眼補足はできず、サーモグラフィー内臓カメラを通さないとどこにいるか分からない、という設定はサスペンスの醸成とCG/着ぐるみ製作費の節約(ほぼゼロ)を同時に実現するナイスアイデア。
効果的に機能しているのかと聞かれれば「う~む」ではありますが…。
ゴアもスプラッターも控えめ(だってお金ないし…)ですが、見えない触手に絡めとられて腰から下が生き別れとか瞬間最大風速の見せ場はあります。
一応それなりに捻ったオチも用意されているので、妙な期待をしなければ、「籠城もの」の変形としてそこそこ楽しめると思います。
日本未公開。国内版ソフト未発売。アマゾンプライムで独占配信中。
★孤島で海から団体客と言えばこんなものも…。
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★本日5月7日は《食人監督》ルッジェロ・デオダート(1939~)の誕生日(おめでとうございます!)。
ただのゲテモノ映画では括り切れない食人映画を2本立てで。