鶴田法男という監督さんとは相性の当たり外れが激しく、「恐怖新聞」を映像化した「予言」はいい感じでしたが、アメリカにお呼ばれしてまで撮った「マスターズ・オブ・ホラー」のひとつ「ドリーム・クルーズ」は(私にとっては)残念無念な出来でした。
本作はドラマとしての出来は悪くないのに作品以外の部分が、ちょっと監督が気の毒になってしまうレベルで駄目駄目という困った子でした。
「トーク・トゥ・ザ・デッド」
(2013年/鶴田法男監督)
鬼母に見捨てられ、多額の借金を背負わされた挙句、唯一の肉親(父違いの弟・聡)を自らの不注意(と本人は思っていますが、まあ不運の範疇)で亡くしてしまった姉・百合。
職場仲間に「死者と話せるアプリ」の存在を教えられ、半信半疑で試してみますが…。
ジャンルをひとつ選ばなければならないとしたら「ホラー」になりますが、軸足は人間ドラマ。いささか大げさな言い方をさせていただければ群像劇といっていい仕上がり。
「~オブ・ザ・デッド」シリーズを思わせるタイトルですがゾンビものではありません。
紅い地面(海?)から顔を出す幽霊メイクの聡というメインビジュアル(ジャケ写等)は、内容とびた一文リンクしておりません。
左が国内版ジャケ、中央と右が輸入盤ジャケ。まだ海外の方がマトモ。
驚いたのは販売元が、この聡を、『呪怨』の俊雄、『クロユリ団地』のミノルに続く、新たな‟ホラー・チャイルド"「サトシ」として売り出そうとしていた事。
いやいやいや、全然そんなキャラじゃないから。
「恐怖は誘(いざな)われる」というキャッチも(言いたいことは分からなくもないですが)響かず刺さらず宛先不明。
「騙してでも売りたい」は販売側の偽らざる心情だとは思いますが、この打ち出しでは、真っ当な仕事をしている役者陣がちと不憫。
タイトルは「死びとの恋わずらい」的な和文の方が良かったと思います(海外向けに「Talk to the dead」というサブタイを入れるのはアリ)。
あと折角、メインヒロインにセーラーヴィーナス(小松彩夏)、サブヒロインに平成ゴジラの小美人(大塚千弘)、男優陣に仮面ライダードレイク(加藤和樹)&仮面ライダー龍騎(須田貴匡)のダブルライダー、ゲストに特撮アイコンの嶋田久作という《映える》役者を揃えているのだから、この人たちをポスターに使わない手はないと思うのですが。
一体誰の指示・発案だったのか(プロデューサーの一瀬隆重か、制作のダブルフィールドか、販売のオデッサ・エンタテインメントか)分かりませんが、売る気を疑うタイトルとビジュアルとコピーでした。
★死んだ家族に会いたい!【洋画編】
★死んだ家族に会いたい!【邦画編】
★最後に鶴田監督残念作を…。
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★本日5月9日はキャンディス・バーゲン(1946~)の誕生日(おめでとうございます!)
代表作と言うと「ソルジャーブルー」「風とライオン」辺りかと思いますが、本日はこれを。
この人、「新・おしゃれ泥棒」とか「続ある愛の詩」とかちょっと割り喰ったタイトルも多いんだよなぁ…。