『トマス、ここは都会とは違う。人も風習も全く違うんだ。信じられない事が起こりうる。覚えておけ』
田舎の怖さに国境無し。ここはスペイン郊外アルガ村(ARGA。ナバラ州にアルガ川ってのがあるらしいのですが、その辺り?)。
とある事情で村には呪いが。そして今年こそ、その呪いを解く100年に一度のチャンスの年でありました。
「人狼村 史上最悪の田舎」
やる気を疑わせるに十分な邦題ですが、原題も「LOBOS DE ARGA」で人狼ネタはバラしていますし、サブタイも「まともなホラーを期待してはいけないよ」という注意書きだと思えば納得です。
トマスはオルガ村出身の両親を持つ青年作家(出した本は500頁に渡ってアル中患者二人が語り合う依存症小説)。
村関係者から初めて輩出された文化人に「名誉村民」の称号が与えられる事になり、トマスは15年ぶりにオルガ村へ。
う~ん、いい景色。
ここでオルガ村歴史探訪。
20世紀最初の年に当時のカリギュラ領主であったマリーニョ侯爵夫人は自身の淫行&蛮行によって人狼の呪いをかけられておりました。
呪いの発動は10年後。10歳の誕生日を迎えた息子が化け物≪人喰い狼≫に。
そのまま村民踊り喰い。何とか捕獲して地下に軟禁しましたが、うっかり殺したら呪いが村全体に伝播しそうで手も出せず。
巡礼者をさらって来ては餌として与えておりました(酷ぇ村だ)。
呪いを解くには100年の節目に侯爵家の血を引く男を生贄に捧げなければなりません。
その侯爵家の血を引く男こそ、トマスその人でありました。
意気揚々とやってきたトマスは叔父の村長率いる武闘派村民に拉致られ、地下壕へポ~ン。
そこには100年生き続ける血に飢えた人狼が…。
ここからはトマスと村の旧友カリスト、トマスを追って(マドリッドで何かやらかして逃げて)来た担当編集のマリオ、そしてトマスの愛犬ヴィトが織りなすドタバタコメディに。
低予算ホラーの王道「内臓でろりん」に傾倒しないのは潔いですが、やってる事自体は結構無慈悲。
何故か少年体に戻った人喰い狼を連れて地下壕を抜け出した面々ですが…。
『さて、どうするよ?』
『トマス喰わせるわけにはいかんだろ』
『指くらいならいいんでね』
『それもそうだな。ちょっと押さえてろ』
『ちょっと待てお前ら待(スッパーン!)』
『生だとグロいな。ニンニクとパセリで炒めてみるか』
『あ、ヴィト(犬)が喰っちまった』
『しゃーない、もう1本行っとくか』
『ちょっと待てお前ら待(スッパーン!)』
意外性という意味も含めて笑えます。
結局、解呪が1日遅れたために呪いが村全体に広がって老いも若きも男も女も皆まとめて人狼に。
人狼と言うよりは猿人に近い着ぐるみ軍団。
田舎町を訪れたら歓待されたけど罠だった、という建て付けは「ウィッカーマン」「2000人の狂人」系と言えなくもないですし、教会に立て籠もっての戦いは「フロム・ダスク・ティル・ドーン」を思わせなくもないですが、収拾のつけ方が超テキトー。
エピローグの取って付けたオチは更にテキトーで完全に蛇足。
収め方をもう少し真面目に考えてくれれば、そこそこな佳作になったと思うのですが、色々と残念。
★比べるのもどうかとは思いますが…
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★本日5月14日ジョージ・ルーカスの誕生日(おめでとうございます!)
まぁ色々と言いたいことは有りますが、今日のところはこの1本に代弁してもらいましょう。
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絶対聴いたことがある! 追悼:数原 晋
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トランぺッター、数原晋さんがお亡くなりになっていました。
2021年4月(正確な日時不明)。74歳。
名前を聞いてもピンと来ない方も多いと思いますが、音は絶対聴いたことがあると思います。
「必殺シリーズ」のテーマ曲(平尾昌晃)、「大追跡」OP(大野雄二)、「探偵物語」(大谷和夫)、「金曜ロードショー」のテーマ(ピエール、ポルト)、そして「天空の城ラピュタ」でパズーが吹く「ハトと少年」などなど。
個人的にはクリエーションが音楽を担当した「プロハンター」のテーマ(竹田和夫)がお気に入りでした。
ご冥福をお祈りいたします。
★ご参考