デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

草彅剛のクズっぷりに酔う。 台風家族

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『最低で結構、下衆で結構、クズでケッコー!』

葬儀屋を営む父・一鉄(藤竜也)が妻・光子(榊原るみ)と共に銀行を襲い2000万円を強奪。社用車(?)の霊柩車で逃亡&失踪して10年。

未だ動機不明、所在不明、2000万円の行方も不明。

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銀行襲撃時のいで立ちはThe Unknown Comic


家族の突然の凶行に人生狂わされまくった子供たち(三男一女)が久しぶりに実家に集合。

目的は、捜索願提出後7年を経過したため「死亡」と見做された両親の葬式。そして犯行後10年で時効を迎え、返済義務が消失したために大手を振って実行できる財産分与。

しかし、事はそう簡単には収まってくれませんでした。

「台風家族」(2019年/市井昌秀監督)

集まったのは長男・小鉄(草彅剛)、次男・恭介(新井浩文)、途中参戦ですが三男・千尋中村倫也)、そして長女・麗奈(MEGUMI)。

プラス小鉄の妻・美代子(尾野真千子)と娘・ユズキ(甲田まひる)、呼ばれもせんのにやって来た麗奈の彼氏・佐藤(若葉竜也)が主面子。

親子仲も兄弟仲も最悪な中、ひときわ光り輝くクズが長男・小鉄

土地の時価評価額から家屋の取り壊し費用を引いて残る資産が約800万円。

これを4人で均等分配すれば何の問題もありませんでしたが…。

新事実の発覚と登場人物の欲と意地、想定外の行動が話を加速度的にややこしくしていきます。

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いやぁ、草彅君の「やり切った感」満開な下衆っぷりが清々しい。

香取君同様、ちゃんとした演出家につけば才は引き出してもらえます。

ほぼ家屋内のみの進行になるので、作りが極めて舞台演劇的。

巧い役者を揃えているので、動きはなくとも十分に「魅せて」くれるのですが、カメラが外に飛び出す終盤から突如ドラマが瓦解倒壊総崩れ。

笑って突っ込める範疇を余裕でオーバーランして、ファンタジーと割り切らないと到底合点のいかない「ちょっと待てやコラ!」な展開になります。

ここを「はっちゃけている」とか「想像の斜め上」とかの”前向き”な捉え方ができると全体評価はグーンと上がると思いますが、ドラマにそれなりの整合性を求める向きにはちょっと耐えられないかもしれません。

それでも草彅君のクズっぷりは観る価値あり。

新井クンにとっては事実上の引退作(このまま死ねば遺作)なので、やはり観ておく価値はあるでしょう。

中村倫也君は前年の「孤狼の血」に比べるとイマイチな仕上がり。

藤竜也はともかく、榊原るみの(千石規子化した)老人役はちょっと衝撃的でした。

もう少し腑に落ちる作劇上の工夫をしてくれれば、笑って泣けるハートウォーミングコメディの傑作になったと思います。何か惜しい。

★お仲間の作品も挙げておきましょう。


 

 

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★本日5月18日はチュウ・ユンファ(1955~)の誕生日(おめでとうございます!)

今回は作品ではなく、チョウ・ユンファが堂々2位に輝いた「死体カウント選手権」を。

★そして本日は歌手・声優・女優その他諸々のマルチタレント、飯島真理さんの誕生日(おめでとうございます!)

飯島さんと言えばやはり本邦初のアイドル声優と呼ばれる契機となったこの作品。