デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

ここも人間交差点。 樹の海

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『田中さん! 俺やっぱり止めればよかったですね! あなた、本当は死にたくなかったんじゃないですか!』

ホラー、ファンタジー、ヒューマン…繰り広げられるドラマは異りますが…。

悔いも未練も期待も希望も諦めも。飲み込み広がる大海原。ここは樹海。

樹の海(2004年/瀧本智行監督)

樹海を舞台にしたオムニバスもの。

個々のエピソードは独立していますが、僅かに交錯。寄って離れてすれ違い…。

横領に利用された挙句、用済みとなるやヤクザの下請けに始末され(死んではいなかった)樹海に遺棄された男(萩原聖人)。

命拾いした男が出会う命を捨てに来た男。

町金のローンが返せず樹海に入ったものの死にきれず、でも最早連絡とれるのが金貸しの男だけという女。

その女を(ガラの確保のために)追って樹海に入るチンピラやくざ(池内博之)。

遺品を頼りに死者の思い出のカケラを集めて回る探偵(塩見三省)と、知らない所で思い出のカケラのひとつとなっていたサラリーマン(津田寛治)。

社内不倫からストーカーとなった過去を持つKIOSK店員(井川遥)。

偶然、そのKIOSKで今まで売れた事がない商品を購入するサラリーマン(大杉漣←滅茶苦茶儲け役)。

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何気に「アウトレイジ」に関わる人が4人も出ていますね。

初監督作なので、ディテールにこだわる(凝る、ではない)習慣がついていないのか、ツッコミどころは満載(おいおい、そのガラケーのバッテリー一体何時間持つんだよ?的な)。

相変わらず萩原聖人は味のある演技をします。

エピとしては塩見&津田の「アウトレイジ最終章」コンビが良い感じ。

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自殺した見ず知らずの(もしくはほとんど記憶にない)女の事を「せめて憶えていてあげたい」と思うのは傲慢かもしれません。ちょっと善い事をしたという自己満足に浸りたいだけかもしれません。

傲慢でも自己満でもいいじゃないですか。

誰かと関わろうと言う想いは悪い事ではないと思います。

因みにこの監督さんのその後の作品は「脳男」

ちょっと残念。

 

 

★最早立派な1ジャンル「樹海もの」。

 

★塩見さん、その後、脳出血の後遺症どんな塩梅でしょう。

※2019年に出演された「初恋」、タイトルで敬遠していましたが、監督三池、脚本中村雅、音楽遠藤浩二東映配給(しかも塩見さんの役柄が「組長代行」)じゃないですか。ミスったなぁ。

 

 

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★本日5月21日は稲垣浩監督(1905~1980)の命日(合掌)。

何故か宮本武蔵にご執心な方で、手を変え品を変え武蔵映画を撮っておられました。

本日は王道を半歩外れたこちらの作品を。