「さて…」
考えをまとめるためにTHE BOTANIST(アイラ島の多様な野生植物を使用したドライジン)の炭酸割り(+レモン)とか作ってみる。
一口飲んで再び思考を戻す。
「さて…」
この監督は何がしたかったんだろう。
「犬鳴村」(2019年/清水崇監督)
すみません、「貞子」の時と全く同じ書き出しになってしまいました。
日本の横綱級都市伝説「犬鳴村」。海外なら「フィラデルフィア・エクスペリメント」「ディアトロフ・インシデント」クラスのビッグネームです。
存在だけが際立っていて限りなく「出オチ」に近いネタをどう料理するのか。掘って良し盛って良し。自由度無限。しかし監督は清水崇。僅かな期待と無限大の不安を抱えて臨みましたが、結果はがっかりぐったりばったりぽっくり。
電力会社に騙されて、村民根絶やしにされた挙句にダムの底に沈められた犬鳴村の怨念が…ってちっがーう!
犬鳴村は野犬を食料にしていたため忌み嫌われ、その血を継いだ者は犬人間に…ってちっがーう!
それじゃ「キャット・ピープル」じゃねえか。
この都市伝説は村が現在進行形で「実在」しているかもしれない所が面白いんであって、そんな過去の事件とか血の因習とか心霊現象とか求めてはいないのよ(少なくとも私は)。
Youtuberなアベックが、ヘラヘラ実況しながら犬鳴隧道を潜る冒頭からイライラ止まらず。
隧道を塞いでいるブロックがあったりなかったりってのも伝説改竄な感じがして頂けません。
作り手は真面目に都市伝説を描く気があるのでしょうか?
終盤は爆笑コント。隧道の中を逃げる主人公(三吉彩花)と兄と弟。追いかけて来る村民。
何故か途中で両者ともに立ち止まって対峙。村民代表の犬娘が暗黒舞踏のような面妖な歩き方で見得を切りながらゆっくりと前進。それをぼ~と眺めている主人公ら。
突如、兄がうおーっと犬娘に突進して進行妨害。揉み合っていると犬娘の恋人が後ろからまったりと加勢して押しくらまんじゅう。それをぼ~と眺めている主人公と弟。
村民(の霊)は何をするでもなくその周囲をうーろうろ。
あーもう何がしたいんだよお前ら!
何か「貞子」の時と同じ事書いてるな…。
清水監督は「呪怨」シリーズで作った貯金を使い果たした上に自己破産しましたね。
「貞子」も2019年か。この年はJホラーの命日と言うか忌年として記憶されるべきかもしれません。
おまけ
本作で唯一怖かったのは高島礼子演じる「壊れたお母ちゃん」。
「犬神の悪霊(たたり)」の泉じゅん(生まれて来る赤ちゃん用に犬形の服を編んでいる)に相当するシーンかと思いますが、ご家族に認知症の親とか重度の精神疾患(統合失調など)を患っている方がいらっしゃる場合は、相当なダメージを負うかもしれないので、観る時は注意が必要です。
★ご参考~一足先に自己破産した中田監督
★ご参考~がっかり続きの清水監督
★田舎の村で犬と言えば…
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★本日8月6日はM・ナイト・シャマラン監督(1970~)の誕生日(おめでとうございます!)
地味目の近作を2本ほどご紹介。