超テキトーの中に気概が見え隠れする約3分12ラウンド。
あらゆる説明を放棄して勢いだけで走りきるスプリンター紙芝居アニメ。
「彼岸島X」
(2016年10月15日 - 2017年3月25日配信/青池良輔監督)
1年中彼岸花が咲いている“森と海しかない”孤島、彼岸島。
そこでは人間と吸血鬼の果てしない戦いが続いているのでした。
という松本光司の漫画「彼岸島」のゲーム、映画、TVシリーズに続くメディアミックス…なのですが、飛ばし方が半端ないので、振り落とされる以前に乗り込むことができません(笑)。
主人公・宮本明が彼岸島に辿り着いた経緯も「知った事か!」でいきなり丸太(第1話サブタイ)。
吸血鬼の頭を潰して砕いて吹き飛ばし、弓矢を防ぎ城門すら破壊するオールラウンドなスーパーウェポン「丸太」。
面取りもしていない巨大な丸太を武器として(しかも素手で)振り回すなど常人にはとうてい不可能ですが、この世界では誰もが扱う万能ツール。
どんな難局も丸太さえあれば…。
吸血鬼の食料は勿論、人間の生き血。
島の住人だけでは足りないので、お色気お姉ちゃんが本土からやりたい盛りのお兄ちゃんを騙して誘ってデリバリー(「ホステル」方式)。
憐れなお兄ちゃんたちは吸血鬼に噛まれた瞬間、全員がプシャーの擬音付きで景気よく失禁(1話では女性も)。
誰得の映像表現なのだろう…。
海からは「いや君ら、吸血鬼じゃなくて“深き者ども”だろ」な方々も登場。
※余談ですが、本日8月20日はハワード・フィリップス・ラヴクラフト(1890~)の誕生日です。
毎回冒頭で「森と海しかない」とか言っているのに、島の中には病院、教会の建造物に加え砂漠地帯まで(広いな~彼岸島)。
唐突に登場する吸血鬼以外の謎の生き物も多数。
ラスボス雅のペット「チワワ様」
目が合うと喰い殺される炭鉱の主「姫」
爆笑だったのは最終12話でラスボス雅(吸血鬼の親玉)と闘っている時に、明の懐から顔を出した501ワクチン。
≪明が密かに携帯している501ワクチンとは、(中略)旧陸軍五十嵐部隊が複数の吸血鬼の血を輸血する事によって最強の吸血鬼となってしまった雅の不老不死の力を奪うためだけに開発した血液分離剤である。明はこのワクチンを手に入れるために実の兄・篤と決闘し、その命を奪っている。明そして人間の最後の希望である≫
最後の最後に今まで一度も触れていない話と設定をサラっとぶち込んでまいりました。
説明不足を逆手にとった一種の自爆型自虐ギャグと言えるかもしれません。
しかし、本作の最も先鋭的な所は声優陣にあります。
何と毎回一人の声優が全キャラの声(効果音含む)をアテる(しかも3回ごとに声優が入れ替わる)という生放送に於ける緊急事態対応のようなシフト編成。
声優のラインナップは、
1-3話が速水奨
2-6話が千葉繁
7-9話が関智一
そして10-12話が山寺宏一。
山寺宏一に至っては、最終12話で全50役をひとりでこなすという「何と闘っているんですか、あなたは?」な大活躍。
あまりに全力疾走だったので、もちっとまともなバージョンを観たいなぁと思ったら、2013年のテレビドラマ版って、
総監修:三池崇史
脚本:NAKA雅MURA
音楽:遠藤浩二
の黄金トリオだったんですね。これは機会があれば見て観てみたいです。
★ご参考【謎の孤島で陰謀策謀大乱闘と言えば…】
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★本文中でも触れていますが、本日8月20日はラヴクラフト先生の誕生日です。
事あるごとに取り上げておりますが、本日は比較的引用機会の少ないものをひとつふたつ。
★★★★★★★★★★★ STOP PRESS!★★★★★★★★★★★
千葉真一死去!
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19日午後5時26分。新型コロナウイルスによる肺炎のため千葉県・君津市の病院で。82歳。
かなりショックです。
追悼記事は改めて。
ご冥福をお祈りいたします。