デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

縁と縁(えにし)を数珠繋ぎ。 家へ帰ろう

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友との約束を果たしに行く。

その約束が交わされたのは70年前。1945年。

場所はその名を口にする事さえ禁じて来た国、ポーランド

ヤバイです。この設定だけで泣きそうです。

「家(うち)帰ろう」
(2017年/パブロ・ソラルス監督)

 

ブエノスアイレスで仕立て屋を営んで来たユダヤアブラハム

子供や孫に恵まれましたが、寄る年波には勝てず、右足は言う事を聞いてくれません。

手術をすれば恐らく切断。

娘たちの勧めで財産は譲渡して家も売り、老人ホームに入る事に。

『これはどうしますか?』

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荷物を整理してくれた家政婦さんの手には1着のスーツが。

ああ、そのスーツは…。

それは自分が仕立てた最後のスーツ。第二次世界大戦末期に自分の命を救ってくれた友に送るための…。

このまま老人ホームに捨て去られるのは嫌だ。行こう、友に会いに。ポーランドへ。

最後のスーツを抱え、動かぬ右足(ツーレスという名前をつけている)を引きずって、家出。

チケットはユダヤの地下組織で購入。マドリードからパリに入って列車でワルシャワというルート。

マドリードのホテルで泥棒に入られ、手持ち財産消失(1回しか行った事ないですが、マドリードってそんな町って気がします)。

パリでも問題がひとつ。パリとワルシャワの間には、どうしても避けては通れない国、ドイツが…。

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『例え1メートル、いや1センチたりとも足を踏み入れたくない』

頑固爺がある目的を持って旅をし、行く先々で人の優しさに触れて縁(えにし)を繋いでいく…「ストレイト・ストーリー」「世界最速のインディアン」に連なるロード・ムービー。

マドリード行きの飛行機で隣り合わせた若者、マドリードのホテルの妙齢なマダム、パリからワルシャワに向かう車中で出会ったドイツ人の文化人類学者、そして、ワルシャワから目的地ウッチまでの案内を引き受けてくれた介護士

ポツリポツリと語られる、あの時ユダヤ人に起きた事。

70年間音信不通だった友には会えるのか。

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世界は優しさに満ちています。

★頑固爺の一人旅と言えば…

 

★因みに本日9月15日は「老人の日」です。

2002年までは「敬老の日」(国民の祝日)でしたが、「祝日法」の改正(2003年)によって「敬老の日」が9月の第3月曜日に移動。以前の「敬老の日」を記念日として残すため、この日が「老人の日」となりました。

「敬老」には年長者を敬うという大義がありますが、老人の日と言われると何だそりゃ?って感じになりますね。

「国民の間に広く老人の福祉についての関心と理解を深めるとともに、老人に対し自らの生活の向上に努める意欲を促す日」なんだそうです。

伝わりにくいなぁ…。

「老人」を扱った作品、たくさんありますよね。曼荼羅畑では「頑固爺」という切り口で何本もご紹介してきました。「家(うち)へ帰ろう」もそのひとつ。

本日は「ああ、そう言えばこんなのもあったなぁ」という「テーマ:老人」な作品をかいつまんで。

 

 

 

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★本日のTV放送【13:00~BSプレミアム/プレミアムシネマ】