本日9月21日はスティーヴン・キング(1947~)の誕生日(おめでとうございます!)
記念してキングの「秘密の窓、秘密の庭」を原作にしたこちらを。
「シークレット ウィンドウ」
(2004年/デヴィッド・コープ監督)
本人を写し取ったか、悩める作家の虚実錯綜…。
モート・レイニー(ジョニー・デップ)はミステリー作家。
妻エイミー(マリア・ベロ)とは離婚調停中(直接の原因はエイミーの浮気。協議は済んでいますが離婚届のサインは拒否)で神経削られ新作の執筆も遅々として進まず。
住んでいた豪邸は妻に譲り、自身は湖畔のキャビンで自堕落な日々。
そこに突然現れた謎の男、ジョン・シューター(ジョン・タトゥーロ)。
『俺の話を盗みやがったな(You stole my story)』
押し付けられた原稿「Sowing Season(種まきの季節)」は確かにモートの小説「Secret Window」に酷似していました。
『これを書いたのはいつだ?』
『1997年』
『僕がこれを書いたのは94年の暮れだ!掲載は「エラリー・クイーン・ミステリー・マガジン」1995年6月号だ!』
そんな雑誌は存在しない。あるのなら見せて見ろ!猶予は3日だ。
この日からモートの周辺で怪事件が次々と。
シューターの要求は金でも謝罪でもなく、「Secret Window」結末の(「Sowing Season」に沿った)書き直しと再出版。
えっと…「ミザリー」?
シューターが何者か、は特にキングのファンでなくとも容易に想像がつきます。
ってかこの話ってキングの「ダーク・ハーフ」と同じでね?
因みに「ダーク・ハーフ」で自我が引き裂かれる作家を演じていたティモシー・ハットンはこっちではエイミーを寝取る間男役です。
SHOOTERという単語が別の言葉に変換されるのはREDRUM的な事をもう一回やってみたかったって事なのでしょうか。
そう言えば「シャイニング」のジャック(ニコルソン)も、新作が書けない作家でしたね。
キングのネタに新規性が無いのはいつもの事。その意味では実にキングらしいお話ではあります(キングの庭って思っている以上に狭いのかもしれません)。
「ダーク・ハーフ」(ロメロの映画の方ね)の凝った構成に比べると本作の建てつけは恐ろしくシンプル。
編集者と打ち合わせする為の習作を推敲無しでそのまま世に出してしまった感じ。
監督さんは「ロスト・ワールド」とか「パニック・ルーム」とか「スネーク・アイズ」とか「宇宙戦争」とか「クリスタル・スカルの王国」の脚本書いてた人で本作の脚本も…って嗚呼だからか。
ジョニデ、ベロ、ハットン、タトゥーロという顔だけで存在感のある役者で空間を埋めていなければ、スッカスカな印象だけが残ったかもしれません。
スターは偉大だ…。
おまけ❶
シューターが登場した時に思い出したのがこの人。
リンチの「マルホランド・ドライブ」で、
『さて...お前が正しい選択をすれば、もう1回私に会うことになる。間違った選択をすれば...あと2回会うことになるだろう』
Now... you will see me one more time, if you do good. You will see me... two more times, if you do bad.
と言う印象的な台詞を放ったカウボーイ(モンティ・モンゴメリー)です。
なので最初はリンチ的な不条理劇なのかなぁと。「マルホランド」主演のナオミ・ワッツとマリア・ベロって何となく「同じ箱」な感じですし。
おまけ❷
本筋とは全然関係ないですが、ジョニデの書斎には「トムボーイ」が!
ある年齢以上の人には懐かしい「科学玩具」「生きているバネ」。まだ売っているのか。
★ご参考❶【似たような話ですが建付けは格段に良いのが】
★ご参考❷【不条理劇の代表作と言えば】
★ご参考❸【だから君の脚本は…】