監督名がひとつのジャンルになる事はままありますが、この監督もそう。
最低と言う品質をこの名前が保証します。
「地球防衛未亡人」
(2014年/河崎実監督)
中国がその領有権を主張する日本南方の三角諸島に宇宙怪獣ベムラスが飛来(3年ぶり2度目)。
場所が悪いぞ、どうしよう?とJAP(地球防衛軍日本支部の通称。Japan Aid Party)が二の足を踏んでいる間に中国は自国領土に怪獣の上陸を許した日本を非難。
その後、ベムラスは日本本土に移動。向かった先は浜浦発電所。
3年前に婚約者をベムラスに殺され、復讐に燃える地球防衛軍のエースパイロット、ダン隊員(檀蜜)はJAPヤロー1号に搭乗してベムラス殲滅に向かいますが…。
ベムラスの目的(食料)は何と「使用済み核燃料」。
途端に中国・アメリカがベムラスの所有権を主張。
各国が抱える核廃棄物問題を解決する天の啓示。ベムラスを占有した国が最高の外交カードを切ることができる…。
おお、何と社会派な展開(笑)。
政治家モノマネ軍団の滑りまくりギャグがこれを支援。
檀蜜はベムラスを攻撃する度にエクスタシーに襲われる変態で、その正体はアメノウズメの生まれ変わり。
檀蜜の舞にベムラスも大興奮。
特別ゲストに電A(デンエース)…と言っても知っている人少ないでしょうねえ。マイナーヒーローランキングやったら多分ぶっちぎりで1位。
電Aに比べたら、レッドマンもトリプルファイターも全国区ウルトラメジャーヒーローです。
石坂浩二ばりのナレーションで颯爽と登場した電Aでしたが…。
まあ、JAPタマオカ長官役の森次晃嗣が檀のことを「ダン!」と連呼する質の悪い冗談と滑り芸人の寒すぎるネタ、あと微エロとも言えない壇蜜のサーピスカットがメインではあるのですが、好印象な場面も多々。
- 森次晃嗣やトビヤマ参謀役の沖田駿一(「ウルトラマンA」のTAC山中隊員)が「おお、久しぶりセリフだぜ、間違えないよう大切に喋らないと」な感じで噛んで含めるように話すので台詞が大変聞き取りやすい。
- JAPヤロー1号のデザインがかっちょいい(サイズがデカいので結構作り込まれている)。
- ベムラスの面構えがなかなかに強面(デザインしたのは「県立地球防衛軍」や「プロジェクトA子」の原画も担当している漫画家の麻宮騎亜)。
ま、最低である事に変わりはないのですが、この監督にそれ以上の何を求めると言うのか。
期待通りの作品であったと思います。
★折角なので河崎実最低列伝をお届けしましょう。
★ついでに正統派自主特撮作品もひとつ。
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★本日10月1日はジュリアーノ・ジェンマ(1938~2013)の命日。
ジェンマと言えばマカロニ・ウェスタンですが、アルジェント・ホラーなんかにも出ていました(守備範囲が広いのか狭いのか)。
各々から1本ずつご紹介。