1日遅れになってしまいましたが、昨日2021年10月14日はTVアニメ「うる星やつら」の放送40周年記念日でした。
1981年10月14日、記念すべき第1話放送。
★第1話レビューはこちら。
原作者と原作原理主義者の意向はさておき、アニメ版は最初の発射台となった押井守の趣味(?)と3クール目から参入してこれに追い打ち(?)をかけた伊藤和典が全てを決めたような気がします。
この方向性を背負ったのが、原作では1モブに過ぎなかったのにアニメでは主役級のキャラに昇格したメガネ。
千葉繁という強烈無比な声優に憑依されたメガネは押井の分身としてやりたい放題し放題。
押井守は「わけが分からない」「フジテレビ受け取り拒否」「厳重注意」という栄誉(?)を授かった第78回101話「みじめ愛とさすらいの母」(その破壊力に於いて他の追随を許さない傑作)を経て、『ビューティフル・ドリーマー』公開後の1984年3月放映分(第106回/第129話)「死闘! あたるVS面堂軍団!!」をもってチーフディレクターを降板しました。
今回は押井守降板後(チーフディレクターはやまざきかずおに、製作会社もスタジオぴえろからディーンにシフト)のエピからこの回をご紹介。
「うる星やつら/第142回165話・お芝居パニック! 面堂家花見のうたげ!!」(1985年2月6日放送/鈴木行演出)
雪の降りしきる真冬、面倒家の温室(5000㎡、約15,000坪)で開かれた「お花見」。
ラムの持ち込んだ「ジュース」が美味と大好評。しかし、何故か全員へべれけ。
『こらラム、それ、アルコール入りのジュースじゃないのか?』
『アルコールなんて入ってないっちゃ!』
『しかし、どう見ても全員酔っぱらっとるじゃないか』
ここで酔っぱらったメガネが歌っている歌(絶対、千葉さんのアドリブだと思いますが)が素晴らしい。
♪黒人白人有色人種!右と左でシャバダバダ…
改めてラムがジュース樽の但し書きを読むと…
『品質には万全を期しておりますが、次の星系のお客様には…
これ、地球人にはゲキ薬だっちゃ』
『何!?』
『最初は酒に酔ったような症状が出て、それが治まると…
劇を始めるっちゃ』
その劇かい!?(笑)
セット、衣装、特殊効果、ついでにモブなどは黒メガネ部隊と黒子部隊が共同でアシスト。
江戸の町に徘徊する辻斬り(面堂)と事件に巻き込まれる遊び人の金さん(あたる)という(死ぬほどつまらない)時代劇(一部西部劇)。
ジュースに酔えず、退屈しながらも観劇するラムでしたが、おにぎりに入っていた梅干しに当たって参戦。
そのまま全員温室を飛び出して街へ。
そこかしこで小芝居を繰り広げる面々。何か、浅草花やしきを占拠して敷地内全てを使って同時多発小芝居を繰り広げたワハハ本舗を思い出します。
一瞬、酔いが醒めたあたる達ですが、黒メガネと黒子が残ったジュースを空中散布。
通行人全員が役者化!
しかも変身能力まで具備!
ビルの屋上に陣取ったメガネ(タイトル画)が奏でる渾身の演劇論。
『今こそこの怠惰な日常に、夢と現実の中へ、爆弾を投げ込まねばならんのだぁ!劇は舞台の上でのみ演じられるものではない! 限られた空間、限られた俳優、限られた観客とによるなれ合いの虚構など俺たちにはいらぬ! 街こそ舞台なのだ! シナリオも不要、全てが役者だ、何もかもがドラマだ! 嗚呼、素晴らしきかな友引町…だが!決定的に欠落しているのは遊びだ! 純粋無垢なる魂がこけつまろびつ踊る様だ! 一介の高校生がドラマの中に於いて全知全能の神となるのはいとも容易い事なのだ!私は不滅だ!』
千葉繁にしかできない一気呵成な無酸素演技。メガネ名台詞群の中でも上位に入ると思います。
★「うる星やつら」原作者の高橋留美子氏が、1988年(昭63)に創設された漫画、コミック業界で最も権威のある賞「ハーベイ賞」で殿堂入りを果たしました(殿堂入りは10月8日。自身の公式Twitterで発表したのが14日)。実にタイムリー。おめでとうございます。
★本日のTV放送【21:00~日本テレビ/金曜ロードショー】
※放送は「さらば愛しきルパンよ」「死の翼アルバトロス」「ルパンは燃えているか…?!」「ルパン三世は永遠に」の4本。