『あんたはもう毒素だ。俺が解毒剤さ』
You've now become poison. That's why I've been hired.
おっとこれって「コブラ」(1986)の
『お前は病気だ。俺が薬さ』
You're a disease, and I'm the cure.
の本歌取りではないですか。
他にも劇中何度か「消耗品(EXPENDABLES)」という単語が出てきます。
過去だけでなく未来のスタローンまでリスペクトしているとは。
侮れません、セガール親父。
「沈黙の追撃」(2005年/アンソニー・ヒコックス監督)
2005年と言うと随分昔に感じられますが、この時点で「沈黙」8本(戦艦の正当続編「暴走特急」含む)、漢字2文字+アルファベットシリーズ4本、その他数本消化しているので、既に供給過剰(セガールデフレ)になっている時期ですね。
本作のテーマは「マインド・コントロール」
要人もしくは要人に近しい人(シークレット・サービスとかフィアンセとか)を洗脳し、頃合いを見計らって暗殺者に覚醒させ、事が済んだら自殺させるという鬼陰謀。
ウルグアイでアメリカ大使をシークレット・サービスが射殺&自殺。
首謀者の潜伏する研究施設を特殊部隊が急襲しますが、待ち伏せされてほぼ全滅。生き残った者は捕虜になって全員頭のお洗濯。
研究者アドリアン・レイダーの抹殺と研究施設の破壊、そして捕虜の奪還を請け負ったのが、収監中の元軍人、クリス・コーディ(セガール)とゆかいな仲間たち。
お膳立ては完璧で、見せ場もダム大爆破、潜水艦大爆破、銃撃戦にカーチェイス(ヘリに車で体当たり)、オペラハウスで大暴れとてんこ盛りなのですが、兎に角大味。
ヘリ地上できりもみ大破シーンは見応えがありました。
セガールのチームメンバーも爆破のプロとか諜報のプロと言った所謂「プロフェッショナルズ」の建て付けなのですが、「おお、流石専門家」と唸るシーンがほとんどないので、キャラ立ちが今ひとつふたつみっつ(かろうじてヴィニー・ジョーンズだけがそれなりの扱い)。
洗脳された人間は「元には戻せない」というのも救いがありません(解いてやれよ。これじゃ「狂気人間」じゃないか)。
セガールの強さ・不死身さ(弾当たらないんで不死身も何もないのですが…)は相変わらず。
最後に放った前蹴りなんか喰らった奴が重力無視して飛ぶは飛ぶわ。まるで「ドラゴン怒りの鉄拳」(あっちは飛び蹴りだけど、こっちは助走も勢いもないただの前蹴りよ)。
細けぇ事は良いから派手なシーンを次々頂戴!という方にはばっちりな作品ではあります。
アンソニー・ヒコックス監督って「ヘルレイザー3」撮った人かぁ…(納得)。
★ご参考
STOP PRESS!
元俳優、プロデューサーのディーン・セキ(繁体字表記:石天☜広東語発音はシェク・ティン)がお亡くなりになりました。
10月31日。癌。78歳。
ディーン・セキと聞いてパッと顔が浮かぶ人は少ないかもしれませんが、「男たちの挽歌Ⅱ」で、チョウ・ユンファ、ティ・ロンと共に最後のカチコミに加わった偽造紙幣製造組織のボス、ルンを演じた人です。
改めて見ると、ユンファとロンを助さん格さんのように左右に従えて中央に陣取る水戸黄門カットが多く、持ち上げられていたんだなぁ、と。
若い時は「ドランクモンキー酔拳」「スネーキーモンギー蛇拳」「クレージーモンキー笑拳」などでジャッキー・チェンと軽妙なアクションの絡みを披露しておりました。
ご冥福をお祈りいたします。
----------------------------------------------------------------------
★本日11月4日は西田敏行(1947~)の誕生日(おめでとうございます!)。
私にとっての西田敏行は「みごろ!たべごろ!笑いごろ」だったりするのですが、近年の2作が完全に印象を上書きしてしまいました。