デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

ジェンダーの次は…。 ディック・ロングはなぜ死んだのか?

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パルプ・フィクションの清掃人は?』

『キーディス』

ハーヴェイ・カイテルだ。キーディスはレッチリ

奇遇ですね。ちょうど私も今「こんな時、ハーヴェイ・カイテルがいれば便利なのになぁ」って思った所ですよ。

血まみれ後部座席を必死に洗う駄目男ふたり。

そこは昨夜、ディック・ロングがいた所。

「ディック・ロングはなぜ死んだのか?」
(2019年/ダニエル・シャイナート監督)

 

病院の入口に放置された身元不明の怪我人。すぐに息を引き取った男の死因は直腸からの大量出血。

つまり…

『レイプの被害に遭ったとしか…』

平和と退屈を煮〆た「住民全員顔見知り」な田舎町に突如沸き起ったレイプ殺人事件。

ディックを病院前に置き去ったのはバンド仲間のジークとアール。

何故か二人はディックの痕跡をかき消そうと躍起になっていました。

その場しのぎに重ねた嘘は次々と矛盾を生んで…。

ディック・ロングはなぜ死んだのか?

というミステリーの要素も勿論あるのですが、もうひとつの柱が特殊性癖に関する社会の評価。

事件の捜査に関わることになった婦人警官。前半で『うちの妻がキッシュを焼いてくれます』なんて事言っていて《そちら側》の人であることを匂わせます。

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彼女に向って『同性愛は好きじゃない』と言ってしまうジーク。

そして明らかになるディック驚愕の死因。

ディック(リチャードの愛称。チ〇コの隠語)がロングというタイトル、股間に花火を挟んではしゃぐアール、股間に電気スタンドを挟んで萎縮している自分を鼓舞するジークなど、全編に渡って鏤(ちりば)められている男性器の隠喩と暗喩。

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ジェンダーは権利を主張した、ならこれはどう?

これはちょっとした匕首なのかも。

※余談ですが、本作は2005年にワシントンで起きた実話に基づいているそうです(マジかよ!?)。



★ご参考~住民全員顔見知りの街で起きた殺人事件と言えば…

 

 

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★本日12月18日はレイ・リオッタ(1955~)の誕生日(おめでとうございます!)

何かもう佇まいが怖い(笑)。

比較的最近とちょっと前の2本立てを。

★そして!手前味噌で大変恐縮ですが、本日は本ブログ「デストピア経典/曼荼羅畑でつかまえて(無印)」の誕生日!

あれから5,112日、5,129記事。思えば遠くに来たもんだ。

記念すべき第1回目の記事はこちら。

満14年。今日から15年目に突入。何やってんでしょうねえ…。