6年に一度、彗星が地球に近づくとゲートが開いて数百万光年の彼方から宇宙の戦士(面倒なので以下プレデター)がやってくる。
目的は地球最強戦士9人との真剣勝負。
拒めば人類皆殺し。
戦いに公平性を持たせるため(勝負をより楽しくするため?)、プレデターは人類に戦い方を伝授しました。
それが「柔術」。
そっかー、柔術は宇宙由来だったんだー。
取りあえず前田光世には五体投地して謝罪してもらおうか。
「アースフォール JIU JITSU」(2020年/ディミトリ・ロゴセティス監督)
2020.10.24に「JIU JITSU」として予告編をご紹介しましたが、正式邦題は「アースフォール JIU JITSU」になったようです。
「EARTHFALL」というのは、4人のプレイヤーが協力してエイリアンから世界を守るシューティングゲームなのですが、関係あるのかどうかは不明。
ロケ地はキプロスですが、設定上の舞台はビルマ。
プレデターとの戦闘で負傷し記憶喪失になった主人公と米兵(陸軍情報部)のお姉ちゃんが、
『ビルマに何しに来たの?』
『面白いわね』
なんて会話をしているのでてっきり1989年を境にした時空の歪みのような小ネタを挟んでいるのかと思えば、それっきりスルー。
★予告と出演者とキプロスに関してはこちら参照。
まあ要するに地球の命運を賭けた6年周期の天下一武闘会「プレデター対9人の戦鬼」なのですが、アクションシーン撮りたいだけで脚本書き飛ばしているので全編穴だらけ。
JIU JITSU(今はJIU JITSUと表記した場合はブラジリアン柔術を指すそうです)の研究家の中にはその起源をインド仏教の僧侶に求める人もいる(※)ようなので、地球上の発祥がビルマの僧侶であったとしてもまあ「誤差」の範囲(か?)。
※一般社団法人日本ブラジリアン柔術連盟のホームページに書いてありました。
古武道としての柔術は、徒手あるいは短い武器(剣術、抜刀術、槍術、捕手術、捕縄術など)による攻防を技法の中心としているので、日本刀や棍棒やトンファーや鉄パイプヌンチャク振り回して「柔術だ!」と言うのもまあ「誤差」の範囲(か?)。
にも拘わらず肝心要のアクション描写がぬるい上にザル。
人数多い割にキャラ立ちゼロ(せめて各自の格闘技のバックボーンくらい示してやれよ)、ここぞという見せ場もないし、毎回お約束挿入されるスローモーションが睡魔召喚。
プレデターくんがバシュバシュ飛ばしてくる手裏剣はびっくりするくらい当たらない(わざと外しているとしか思えない。狙っているなら赤点追試)。
いくら傷口がすぐ塞がるからと言っても、漁師の奥さんのショットガンで足止めできる程度のダメージ与えられるんなら、グレネードとか無痛ガン持ってくりゃ一発で殲滅できるのでは?(実際「なんじゃそりゃ?」な結末でしたし)
そんな奴が1個体で人類殲滅? どうやって?
余談ですが、プレデターくんって戦闘用スーツを着込んでいるんですよねえ。戦国時代に発祥した柔術の一派(竹内流や荒木流など)は、相手の防具のない箇所を切ったり打撃を与えて転倒させたところを仕留めるといった技法が主体となっているそうなので、そういう戦い方をしてくれれば「おお!柔術!」となったかもしれないのに皆戦い方が無手勝流すぎる…。
女ブルース・リーと呼ばれるジュージュー・チャンも出ています。
あとビルマではアメリカがウランの精製していて寺院周りには許容値を超えるプルトニウムが…なんて前振りを前半でしておきながら後半一切回収無し。全てが投げっぱなし。
なぁニコラス、拘束3日で大好きな格闘映画に出られたのは嬉しかったかもしれんが、もーちっと仕事選ぼうよ。
★何となく「同じ箱」な偏差値貧乏SF
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★因みに本日5月13日は映画監督・脚本家・俳優の佐藤佐吉(1964~)の誕生日(おめでとうございます!)