『おう…俺は織田征仁ってもんだ。事務所に戻ったら俺の名前伝えとけ。もし、生きて帰れたらな』
伝説の狂犬が横浜に帰って来た。
「織田同志会 織田征仁 第一章|第二章」(2020年/藤原健一監督)
「CONFLICT 〜最大の抗争〜」において美味しい所を根こそぎ持って行った天道会若頭補佐・織田征仁(的場浩司)。
前日譚として作られたのが「CONFLICT 〜最大の抗争〜 外伝 織田征仁」。そして後日譚となるのが本作。
本日時点で第九章までが発表されています。
よもや的場浩司にここまでの当たり役が巡って来るとは。金脈はどこに転がっているか分かりません。
お勤め終えて出所した織田征仁は天道会には戻らず、古巣の横浜「織田同志会」へ。
現在の横浜は老舗の相模会と新興の金狼会が中華街の利権を巡って闘争中。
自身がオーナーを務めるバーに(お客様は神様という古典的)因縁をつけている金狼会組員を見つけた織田は黙って瓶で頭カチ割ってまずはバーボンを一口。
『神様だって? こんなに弱ぇとは知らなかったよ』
そのまま拉致ってなぶり殺し。
シマ荒らしに来た金狼会グループにはアイスピック一閃(正確には二閃)。
そのまま拉致ってお見送り。子分はどんと焼き(生きたまま荼毘)。
織田を指して何度も口にされる「狂犬」という言葉。
確かにやっている事は箍(たが)もブレーキも消し飛んでいますが、サイコなイメージはありません。
例えば「孤狼の血Level2」に出て来た鈴木亮平演じる上林も間違いなく「狂犬」でしたが、あれは狂犬という「記号」。
織田征仁には1本の筋と熱い血が通っています。
相模会内に裏切者をでっちあげ(織田同志会のメンバー杉田晋作の認知入った父親圭作が相模会の賭場情報を織田同志会経由で警察に売ったと思わせ)、織田同志会と潰し合わせようと画策する金狼会(と裏でつるんでいる港警察署署長)。
「杉田圭作を引き渡せば戦争回避」という和平提案を持ち掛けて来た相模会(会長は原田大二郎!)ですが織田はこれを一蹴。
『後悔するぞ』
『…させてみろよ』
弱体化したとは言え、構成員は100を超える相模会と本気で戦争をするんですかと問う副会長・小野田勝利も一喝。
『ならお前は晋作の親父を売れって言うのか。こら勝利、お前、俺がいない間にボケちまったんじゃねえのか。晋作は俺たちの家族だ。家族の親父守んねぇなんて馬鹿な話があるか』
ボケかけた親父と息子の距離が少しずつ縮まっていくのもいい感じ(いいんだよ浪花節で。何でも殺伐としてりゃいいってもんじゃないわな)。
まずは相模会。その後ろには金狼会と港警察署。戦争は始まったばかりです。
おまけ
本作の脇役一番は刑務所で織田の舎弟となった矢島を演じた脇知弘。
プロレスラーの経験があるので、近接格闘が全部プロレス伎。ネックハンギングツリードロップや、ボディスラム(リングでは繋ぎ伎ですが、床でやったら必殺技)、特にラリアットはキレがありました。
★本筋のお話はこちら。
★前日譚はこちら。
★血の通っていない狂犬はこちら。
追悼:ターザン後藤
プロレスラー、ターザン後藤がお亡くなりになりました。
5月29日。肝臓がん。58歳。
ターザン後藤と言えば、最初の「ノーロープ有刺鉄線電流爆破マッチ」(90年8月4日汐留)。会場には行けませんでしたが、この時の週プロの表紙は忘れられません。
見渡せば、浅子もポーゴも保坂も非道も…。初期FMWは足繫く通わせて頂きました。ご冥福をお祈りいたします。
★本日6月1日はモーガン・フリーマン(1937~)85回目の誕生日(おめでとうございます!)
昨年は「ドリームキャッチャー」「ベン・ハー」というちょっと横っ飛びな作品をご紹介しましたが、今年はウルトラ王道のこの2本。