『あたしの本名はシルヴァーナ。シルヴァーナ・アデライーデ・ディ・カリニャーノ』
『私の継いだ名はリュシータ。リュシータ・トエル・ウル・ラピュタ』を思い出してしまいました。名前こそアイデンティティ。名乗りこそドラマ。
「連盟空軍航空魔法音楽隊ルミナスウィッチーズ/第5話・まっしろリボン」(2022年7月31日深夜TOKYO MX放送/佐伯昭志他演出)
今回の主役はシルヴィ。初回登場シーンから「やんごとなき出自」の方(ペリーヌ枠)なんだろうなぁと思っておりましたが、正真正銘の王族出身者でした。
その血統故、どこに配属されても腫れ物に触るような扱い。実像よりも血統しか見ようとしない周囲。唯一、本人希望ではなく「転属辞令」で音楽隊に「配属」されたウィッチ、シルヴィ。
ルミナスウィッチーズワールドツアー、最初の公演国はシルヴィの故郷、ロマーニャ。
音楽隊の活動は父の期待するものとは違うはず。だから、ロマーニャに限りステージに立ちたくない、と言うシルヴィでしたが…。
今回の見どころのひとつはキャラバンの足。
アブロ・ランカスター(Avro 683 Lancaster)。A・V・ロー社が開発し、イギリス空軍などで運用された四発戦略爆撃機。
こいつに全員分のストライカーユニット、ステージ機材その他(勿論ウィッチ本人も)詰め込んで発進。
ここでいのりが飛行機が苦手という弱点発覚(気を紛らわすため一心不乱に折紙を折り続ける)。
飛行系の乗り物が駄目というキャラはお約束要員ですが、単独飛行するウィッチが飛行機苦手というのは意外。
まぁセーラーなのに船が苦手というジョーとか飛行中にゲロるマリアとかもいますが(改めてポンコツ揃いだなルミナス)。
己のアイデンティティに悩むシルヴィ。
教会(多分、聖イグナチオ デ ロヨラ教会)の天井に描かれたクーポラのだまし絵に感心するジニーらに
『すごい?でも嘘よ?本物とは違うって裏切りじゃない?騙されたのよ?それってすごいかな』
『う~ん。でもきれいだなって思ったのは本当だよ。これが絵なら私この絵好きだな』
本物と偽物。実像と虚像。各々の主観しか存在しない世界で、虚実の境界線にどんな意味が?
日常会話で何気なくメンバーひとりひとりを救っていくジニー。
ホテルでのシルヴィのルームメイトはジョー。
窓ガラスを鏡代わりにダンスの自主練を始めたジョーにステップを教えるシルヴィ。
『ねぇ…ジョーは何のために頑張るの?』
『それは…お金のためだな!』
何と言うド直球な答え。
『ちょっと絵が描けるくらいじゃ家族は養えないしでも軍隊に入ればあたしにも家族のためにできることがあるんだ』
そう言えばジョー、公演のチラシ配りしている時、男の子の似顔絵描いてあげてましたね。ジョーは絵描きになりたかったのか。
『でもここは他の部隊とはちょっと違うね。国も育ちも違うみんなが集まって一からやったこともないことをしようって。仕事のはずなのになんかワクワクすんだ!』
心に悟空を宿した女。因みにジョーの(気を抜いた時の)一人称は「俺」。
どう英訳するのかと思ったら、語尾に「yo!」を付けていました。
『俺、すっごく楽しかった!』→『It was so much fun,yo!』
やはり人称をいぢるのは難しかったか(「I」しかないですからね英語の一人称)。
これで吹っ切れたのか、ジョーから貰った白いリボンで髪をポニー(母親の葬儀時にしていた髪型)にしたシルヴィは仲間と共にロマーニャの舞台へ。
今回は、飛行機の恐怖から逃れるためいのりが折りまくった折紙のひとつ「花」を、ルミナスの青い公演チラシで折ったシルヴィが母親の墓前に手向け、それが母親が好きだった(そして毎年父親がわざわざ取り寄せて墓前に手向けている)青い桔梗(花言葉は永遠の愛)に重なり、その折紙を胸に付けた父親が音楽隊の存在と意義を讃えるコメントを発表するという、見事としか言いようのないバトンリレーを見せてくれました。
良い話であったと思います。
と綺麗にオチがついた所恐縮ですが、本日8月2日は「パンツの日」。
1984年(昭和59年)に奈良県の下着メーカーの磯貝布帛工業(後のイソカイ)が自社ブランド「シルビー802」の商品名に因んで制定しました(残念ながらイソカイは業績不振により2013年に破産)。
ウィッチーズと言えばズボンと言う名のパンツ。しかも記念日の根拠になった商品名が「シルビー」。
ルミナスではこのウィッチーズのアイデンティティとも言うべき「パンツ」が「スカート」になった事で一部のファンが騒いでいるわけですが、まぁいいじゃないですか。
多分、製作陣が作りたかったのはウィッチーズの名前を借りたアイドルものだったと思いますし。
という訳でパンツが印象的だったアニメをひとつふたつみっつ。
最後に口直しのおまけ。
今週のEDカプは中身の通り、シルヴィ&ジョーでした。