唯一の肉親であるお爺ちゃんが死んだ。
お風呂場で。心臓発作で。
残ったのはお爺ちゃんの家。でも相続税やら固定資産税やら払えないから売却決定。
新学期が始まるまでに手続き済ませちゃいたいから、休みの間に遺品の整理と痛んだ箇所の補修だけでもやってしまおう。
…と思ってはるばるやってきましたが…。
その家自体がとんでもない遺品でした。
「呪いの怨恨 エコーズ・オブ・フィアー」(2019年/ブライアン&ローレンス・アヴェネット=ブラッドリー監督)
音楽大学に通うアリッサ(トリスタ・ロビンソン)に届けられた祖父の訃報。
ホラーで「家」を相続する場合、大抵は豪邸だったり、古~いお屋敷だったりするものですが、ここは違います。
傾斜のど真ん中、下は岩。庭は狭いし芝生も無い。実にアメリカっぽくありません。
それでも取られる各種税。管理するにも維持費が掛かる。まずは「売れる」状態にしないと。
しかし、宿泊1日目から妙な現象が次々と。
この地味ぃな怪異とふと感じる「何か」の気配が結構怖い。
「うわ、びっくらこいた」的ショック描写が多いですが、あざとさはありません。
前半ゴースト・ストーリーと見せかけて(いや実際ゴースト・ストーリーなのですが)、後半スリラーに。一粒で二度美味しい構成の妙。
地下にも天井裏にも謎の空間と作業の痕跡。お爺ちゃんはここで何かを探していた。何を?
いや、本当は探していたんじゃなく、何かを隠そうとしていた?
主役のお姉ちゃんが神経症的顔立ちなのに何故かアニメ声というアンバランスさも不気味さに一役買っています。
お金は全く掛かっておりませんが、よく出来たシナリオだと思います。
Jホラーの影響を受けていると思しき箇所もありますが、今やJホラー自体が残滓とも呼べないていたらくなので、これは最早「本歌取り」。
★折角なので、「家を相続したら何か余計なものまでついてきちゃった」系ホラーを並べておきます。
いやあ、遺産は現金に限りますね。
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