『うるし~、月がきれいですね、は愛してますって意味なんだって!ちゃんと覚えとけ~』
修学旅行最後の夜。歩と遠距離将棋をする事になったうるし。
マキの言葉に見送られてホテルのロビーへ。
窓の向こうを見上げれば夜空にかかるでっかい満月。
たった3日会っていないだけで、歩の存在を強く意識してしまううるし。
繋がった電話から流れて来た歩の言葉は、
『月がキレイですね』
「それでも歩は寄せてくる/第12話・勝って伝えたいので」(2022年9月22日深夜TBS放送/湊未來演出)
元々有名な話ではあった《夏目漱石が「I LOVE YOU」を「月が綺麗」と訳した》という都市伝説ですが、近年のラブコメ(漫画・小説・アニメを問わず)で乱発されたため、一般にも定着してしまいました。
オタクな外国人は日本人に「月が綺麗ですね」と言えば、「愛してます」と脳内変換してくれると本気で信じているのではないでしようか(ないぞー)。
独り歩きした逸話(都市伝説含む)にはよくある事ですが、この話にはdetailがすっぽりと欠落しています。
はて、漱石先生は、いつ、どんなシチュで「I LOVE YOU」を「月が綺麗」と訳したのでしょう。
伝え聞く話では、松山で英語教師をしていた漱石が、「I LOVE YOU」をどう訳すか、と問い、学生が「我、君を愛す」と答えた時
『日本人はそんな無粋な事は言わない。こんな時は「月が綺麗ですね」とでも訳しておけばいい』
と言ったというのが起源(あくまで伝聞であり、この会話の存在を裏付ける記録・古文書の類は一切存在していない)。
英国留学時代の漱石のノートには「此 I love you ハ 日本ニナキ formula (表現。定型句)ナリ」というメモが残っているそうなので、彼の中ではI LOVE YOUは日本人のメンタリティにそぐわない言い回し、という思いがあったのは確かなようです。
直情的で図々しく無粋、それが漱石にとってのI LOVE YOUなのでしょう。
都市伝説定番の流れとしてこれには多数のバリエーションが存在します。
「月が青い」だったり、「星が綺麗」だったり。
2008年2月25日放映の日本テレビ『人生が変わる1分間の深イイ話』では『君といると月が綺麗ですね』に(実は名訳なのでは?)。
漫画やアニメでこの台詞が使われるパターンは大きく3つ。
❶言っている本人が無自覚で回りがドギマギしてしまうパターン
「生徒会役員共」
❷その気で言っているのに相手に伝わらないパターン。
創作漫画「好きな先輩が鈍感すぎる。」
❸そして、相手が分かって使っていると承知の上で、更にネタで返すパターン。
「げんしけん」
歩の場合は勿論❶の「無自覚パターン」。
それでも、月灯りに照らされて、相手の声を自身の指でトレスする遠隔将棋は実にロマンチックでありました。
最終回は歩の告白で終わるのかと思いきや、うるしが歩を好いていると自覚してTo be continued.
実にあっさりした幕引きでしたが、2期、期待しております。
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★本日9月24日は丹波哲郎(1922~2006)の大霊界出立記念日。
盟友(?)石井輝男監督作からこの2本立てをどうぞ。
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