『ベッドが揺れて眠れないの』
この台詞ひとつで「エクソシスト」リスペクトなのは分かります。
ご丁寧に友人には『観てないの?「エクソシスト」。名作よ』と駄目押しまでさせています。
そこまで後追いを自称するなら、もう一工夫しないと。
「悪霊館」(2018年/ジェイソン・ドゥヴァン監督)
最早、類似品と区別がつかない「〇〇館」ですが、原題は「ALONG CAME THE DEVIL」(悪魔が来りて…って感じでしょうか)。
「館」と付いていますが、所謂「家モノ」ではありません。
母親が謎の失踪。残された幼い娘二人は日々是DVな父親と恐怖の日々。
10年後、姉ジョーダンは大学進学のため家を出て、妹アシュレイは叔母(失踪した母親の妹)ターニャの元に引き取られ…ってDV父ちゃんどこいった?
アシュレイは転校初日から母親の幻覚見て授業中に絶叫(高校デビュー失敗)。
心配した友人ハンナ(オカルトマニア)が、それが本当に母親なのか確かめようと鏡を使った降霊術をしたら明らかに別の何かがこんばんは。
これ、母ちゃんじゃなくて悪魔じゃね?
以来、アシュレイは食事ブタ喰い・級友誘惑・鼻血1リットル。
実はお母ちゃんも悪魔に憑かれたのですが、教会牧師のエクソシズムが大失敗という残念な過去が…って失敗した後どうなった? 失敗したまま失踪したのか?それとも死んだのを失踪と偽っていたのか?いずれにしてもそれは関係者(DV父ちゃんと妹)共通認識なのか?
お話が悪魔祓いにシフトしていくのは「残り30分」を切った辺りから。
それまでは悪魔憑きっぽい描写が断片的に挟まれるのですが、全部どこかで誰かがやっていた事なので超退屈。
母親の悪魔祓いを行った牧師が「二度と同じ過ちは繰り返さん!」と贖罪リマッチ…ってこの一大事に妹想いの姉は何している? カレッジライフ満喫中か。
叔母の回想から察するに恐らく結婚前の長女妊娠時に既に悪魔に魅入られていたっぽいのですが、結婚と出産の順番がどうであったにしろ、長女は悪魔祓いについて知っていたはずでは?
アシュレイには母の記憶がほとんどありませんが、姉ジョーダンはしっかり覚えていました。という事は少なくとも悪魔祓い前の奇行については認識していたはず。
モヤモヤしたままエクソシズム第2ラウンド開始。遺恨試合にしてはショッパイ内容で超腰砕け。
本作の3大疑問「父ちゃんどこ行った?」「母ちゃんどこ行った?」「姉ちゃん何してる?」のうちひとつは本作で氷解(ある意味唯一の見どころ)。
残りふたつは何と「続編(ALONG CAME THE DEVIL2)」で明らかになるようです(信じられない事ですが3作目もあるみたいです)。
そんなに引っ張る内容か!?
まあ、今日の所は連作を記念して「悪魔祓い選手権」でも開催しとこうかと思ったらもうやっていました。
ならば「肩透かし悪魔祓い選手権」はどうだと思ったらこれもやっていました。
こうなったら「こんな館は嫌だ!選手権」でお茶を濁すぞ。原題・内容に関係なく邦題に「館」がついているホラー5選。
館って本当に怖いものですね。
★作品レビューはこちらから。