デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

【文芸路線も良いけれど】映画化切望小説【景気よく弾けた大作路線も】

ベストセラーは映画化。ある意味約束された道のりです。

しかし、映像化の機会を得るのはほとんどが低予算でじっくり魅せる系の「文芸」「恋愛」「サスペンス」。

かつて角川がやっていたような鳴り物入りの大作路線はすっかり影をひそめてしまいました。

比較的近年だと藁の楯(2013)」「天空の蜂(2015)」辺りがそれっぽいですが、突っ込みどころも超大作(それでも「藁の楯」は嫌いになれない)。

発表当時は無理だったかもしれませんが、今なら出来るんじゃないか、な超大作映画(になるかもしれない)原作小説をひとつふたつみっつ。

「蒼茫の大地、滅ぶ」
(1978年/西村寿行著)


幅10km、長さ20km、総重量1億9500トンのトノサマバッタの大群が青森へ。

空自の威嚇も失敗。瞬く間に津軽平野の田畑は喰い荒らされ、岩手、宮城、福島も壊滅。

秋田・山形の穀倉地帯まで被害が及び日本全体に飢餓感が。

ここで日本政府のとった行動は「東北の備蓄米の接収」。更に東北民の関東流入実力阻止

中央は決して地方に手を差し伸べない。

遂に東北6県は中央に反旗を翻し、奥州国として日本からの独立を宣言する…

所謂アニマル・パニックものかと思いきや、東北独立戦争にシフトしていく驚きの展開。

まあ、西村寿行のお約束描写(追い詰められた人間は欲望、特に性欲を完全開放する)を絵にするのは困難かと思いますが、自然災害と政治サスペンス、一粒で二度美味しい作品になるのではないかと思います。

 

「火神(アグニ)を盗め」
(1977年/山田正紀著)


中国との国境近くに建設されたインドの原子力発電所。開発を請け負った日本の商社のエンジニア工藤 篤は、この発電所に設計図には無い空間がある事に気付きます。

それは中国-インド間の戦争を引き起こすためにCIAの極右派組織フラワー・チルドレンが仕込んだ爆弾スペース。

秘密に気付いた日本人は次々事故で命を落とし、何とか日本に帰り着いた工藤は自身を守るために会社を脅して爆弾撤去のタスクフォースを結成させますが…。

CIAと事を構えるのなんざ真っ平御免の会社は「絶対に成功しない」メンバーを選別。

社史編纂部の色男、落語家になり損ねた営業部接待係、万年経理係長。

CIAの殺し屋部隊を敵に回して難攻不落の原発に挑む後の無いエンジニアと3人の窓際サラリーマン(唯一の手練れは万が一作戦が成功しそうになった時の安全弁)。

命懸けのミッションを通じて各人が抱えるコンプレックスを解消していく過程が泣かせます。

 

ガダラの豚
(1996年/中島らも著)


恐らく最も映像化の難しい作品。並みの才能で太刀打ちできる代物ではありません。

なんせ「あらすじ」を書こうとして挫折したくらいですから(笑)。

テレビ、宗教、超能力、トリック、マジック、呪術、詐欺、科学、スーパーナチュラル、家族愛をちぎっては投げ、ちぎっては投げしたスーパーアドベンチャー小説。

らもさん、これ躁状態の時に一気に書いたんだろうなぁ。

合本版は余裕で凶器になる重さですが、一気読み不可避(所謂「徹夜本」)の面白さ。

我と思わん方は是非、映像化に名乗りを。

 

★ご参考

 

 

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★本日11月11日はデミ・ムーア(1962~)の誕生日(おめでとうございます!)

デミと言えば、伝説のチャーリーズ・エンジェルですが、今回は地味な上に色々残念な出来だったサスペンス/スリラーのこちらを。

 

★ついでといってはなんですが、本日は「煙突の日」でもあります。1111で1が4本立っている様が煙突を思わせるからですが、いつ誰が何の目的で制定したのか不明。

煙突で思い出す映画と言えば…。