デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

【藪の中に踏み込みし】キュクロプス【北野黒沢の後継者】

『なあ、そんな腐った眼で刑事が勤まんのかよ。何が正しくて何が間違ってんのか、見分けがつくのかよ!』

妻と浮気相手を殺した罪で逮捕された篠原(池内万作)。容疑を否認するも判決は懲役18年。

14年後、模範囚として仮釈放を控えた篠原を訪ねて来たひとりの刑事・松尾(佐藤貢三)。

面会室で松尾は篠原にぼそりと告げる。

『見つけました。真犯人を』

ふたつの死体に関する容疑者、刑事、真犯人と目された男の証言。

嘘を吐いているのは誰だ。

キュクロプス(2018年/大庭功睦監督)

佐藤が真犯人と名指ししたのは稲葉組の若頭・財前(杉山ひこひこ)。

財前が狙っていたのは、組のシノギのネタを警察・マスコミに流そうとしていた市議会議員の手塚。篠原の妻は手塚と一緒にいたため、巻き添えで殺された。

最早、財前を法的に裁くことはできない。ただし、篠原が財前に私的制裁を加えると言うのなら、協力する。

手引き(と拳銃指南)役は財前の下で若い衆をやってる西(斉藤悠)。


冤罪を許した刑事の贖罪、妻を殺された男の復讐、組に弓引くやくざの野望。

歯車が嚙み合ったかに見えましたが…。

冒頭、田舎道を走る車を後方から捉えたショットと音楽で「あゝ、この監督さんは北野と黒沢の影響を受けているんだなあ」。


カメラワーク、暴力、虚無感。特に「3-4X10月」「ソナチネ」「蛇の道」「蜘蛛の瞳」。

お話の構造が「藪の中」でもあるのでWクロサワリスペクトとも言えそうです。

一般の知名度は低いかもしれませんが、役者は経験豊富な手練ればかり。

財前役杉山ひこひこのキレっぷりもいい。


何でも監督がフリーの助監督として現場を渡り歩いていた時に目を付けた役者さんに声を掛けていったんだとか。

稲葉組組員を演じた島津健太郎だけはVシネで観まくっているので私の中では超有名人でしたが。


あまり有名でないからこそ醸し出す事ができるノワールな雰囲気。細かいツッコミどころはありますが、引き込まれる作品でありました。

※実は久しぶりに「キクロプス CYCLOPS」(1987年/飯田譲治監督、阿藤海主演)を観たいなあと思って探したら偶然見つけた作品でした。

→「キクロプス CYCLOPS」は配信も国内版ソフト(中古VHS含む)も見つかりませんでしたが、北米版BDが発売されていました。

欲しいな…。

★ご参考/北野&黒沢~死の憧憬と舞い踊る狂気

 

 

 

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★本日12月7日は「キングクリムゾン」「ELP(パウエル含む)」のリード・ボーカリストグレッグ・レイク(1947~2016)の命日。

「墓碑銘(Epitaph)」「聖地エルサレム」「THE SCORE」をフルボリュームで流して偲びましょう。

 

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