「海中記録映像」と「観光地イベント映像」と「安い役者の三文芝居」を適当に繋いで海洋パニック映画が作れないか、という壮大な試み。
そう、サメ映画は誰にでも作れます。
「サメデター」（2021年／ダスティン・ファーガソン監督）
この《鮫出たー！》と《プレデター》を引っかけたタイトルでアホさ加減の想像はつきますが、実態はこちらの期待をダブルスコアで裏切るZ級映画でした。
因みに原題は「APEX PREDATORS（捕食の頂点）」か「JAWS OF LOS ANGELES」。
ハリボテは勿論、激安CGすら作る気がない安普請な建てつけ。
《今度のサメは海に出る！》
街中やら雪山やら沼やら河やら至る所に出没するようになった昨今のサメ映画を逆手に取ったキャッチですが、看板に偽り無し。
サメは海にしかいません。全て資料映像ですが。
当然、人間と一緒に写っているカットなんぞないので、サメの大きさが全く分かりません（明らかにホオジロザメではない）。
恐らく本編で唯一、サメと人間が同じフレームに収まっている1カットがこちら。
被害者は（最初のダイバーを除いて）皆（せいぜい腰まで浸かる程度の）波打ち際で襲われています（勿論、リアクションオンリーの一人芝居。中にはいきなり死体の人も）。
冒頭、延々海中のお魚映像が。本編始まっても映るのは海岸沿いの観光地。地雷なのは明らかなのですが「どうするつもりなんだこれから!?」という別の興味が湧いてきて打ち切るに打ち切れず。
サメ研究者は観光地をゆったりまったり散策して、海を眺めて『必ず追い詰めてやるぞ』と宣言して自宅に戻り、ソファでコーヒー片手に寛ぎながら『警告せねば！』
おい…。
因みに途中でサメは1匹ではない、という事が分かるのですが、何故か後半「サメは3匹」と根拠なく数が特定されて、結局、退治した（と思われる）のは1匹。
最後は水柱の1本くらい立てるのかと思いきやそれも無し。
いやもう景気よくネタバレしちゃいますが、毒入りのマグロを投げつけるだけですよ。喰うシーンなんか勿論ありません（当然、死ぬシーンもありません）。
想像力をフル稼働させてクライマックスを脳内補完してたください。
総タイム1時間10分ですが、冒頭の水中映像が4分、エンドクレジットが10分近くあるので正味56分。ストーリーに関係ある部分だけ抜き出したら多分15分も掛からないんじゃないかと思います。
そんな中でも見どころはあります。ふたつも！
ひとつは夕陽。
水平線に没する太陽を沈み切るまでじっくりしっかり。何かヤコペッティの映画を観ているみたいです（資料映像だと思いますが…）。
沈み切るまでたっぷり1分！
そしてもうひとつは最後の最後の1カット。手持ちのチップを全部投入した勝負の大博打。
「デッドリースポーン」リスペクトと言えなくもないですが、実態は是非ご自身で確認を。
ゲストスターとして「ブルース・リー 死亡遊戯」で仕込み杖を持っていたマフィアの幹部「スティック」を演じていたメル・ノヴァクが出ておりました。
にしてもジャケットに踊っている「ソアヌツツツイアオク」って何なんでしょうねえ…。
日本の販売元（コンマビジョン）がテキトーにつけたのかと思いましたが、オリジナル（と思われる）ジャケにも（何故か右下には「ジョーズ」のカタカナロゴまで）。
謎です。
★ここいらへん👇が最低ランクだと思っておりましたが、本作に比べれば立派な映画な気がしてきました（完全にパンチドランカー状態）
★ご参考
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