デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

【民兵の大義】スパロークリーク 野良犬たちの長い夜【警官の矜持】

《警官が多数撃たれた。大至急、救急車を。繰り返す、警官が負傷…》

警察無線で飛び交う緊急連絡。

民兵メンバー非常呼集。とある製材工場に集まった7人の男。各自が知りえた情報が断片的に。


葬儀会場に乱入した男が銃を乱射したらしい。

武器はAR15。自動小銃に防弾チョッキ、手榴弾

店で売っている奴は半自動式。改造したにしろ、そんなものを持っているのは…

…俺たちしかいない。

葬儀は警官のもので参列者も警官関係者ばかり。

犯人は民兵組織の奴らしい。

つまり、当局が容疑者として探しているのは…

…俺たちだ。

ここにはライフルも手榴弾もある。突入されたら終わりだ。20年は喰らうぞ。

全員携帯を切れ。バッテリーも外せ。武器庫も片付けてヤバイものは捨てるぞ。

しかし…

…1丁無い。

自動小銃が1丁足りない。25着あるはずの防弾チョッキも1着無い。

『ドアの暗証番号は48時間おきに自動で変わる。知っているのは俺たちだけだ』

つまり…

…この中に犯人がいる。


犯人を差し出して単独犯であることを証明しないと警察と戦争になる。

長い夜が始まった。

「スパロークリーク 野良犬たちの長い夜」(2020年/ヘンリー・ナダム監督)

日本人には全く以て馴染みのない民兵(militia)」

国家・政府から完全に独立した、市民の市民による市民のための軍隊。地域共同体に属さない非専業戦闘員の集団。

軍隊である以上、守るべきは国土であり、戦うべきは外敵…かと思いきや、そういう組織ではないようで。

どうも守るべきはどこまでも市民の「自由」であり、そのためには相手が誰であっても、つまり連邦政府であっても牙を剥く集団のようです。

1995年のオクラホマ連邦庁舎爆破テロの犯人、ティモシー・マクベイもそんな民兵組織のメンバーだったそうです。

というある意味「一触即発」の関係にある警察と民兵。そこで起きた警官射殺→葬儀に集まって来た警察関係者大殺戮。ヤバイなんてもんじゃない。

元警察官でプロファイリングの専門家ギャノン(ジェームズ・バッジ・デール)がひとりずつ全員の尋問を始めますが…。

そして尋問の間にも、今回の葬儀襲撃を彼らの仕業だと思った他の民兵組織が「彼らに続け!」と警察署襲撃を画策していることが無線から分かり…。

『思い描いたものとは少し違うが、その時は来た。武器に弾をこめて警察署に向かうべきだ。力を合わせて奴らと戦うんだ。サツとの戦争を実は皆望んでいたんじゃないのか』

派手なドンパチがありそうで全くない腰の据わった「レザボアドッグス」。

どこかキューブリックを思わせる奥行き&シンメトリーな構図。


そして光画部OBたわばさんの訓えを忠実に守った(?)「逆光は勝利」

画面が「張っている」佳作であったと思います。

 

★復習しましょう。逆光は勝利。

 

 

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★本日1月3日はメル・ギブソン(1956~)の誕生日(おめでとうございます!)

「マッドマックス」翌年のチョイ役作品と「マッドマックス」37年後に再びソードオフ・ショットガンを手にしたこの作品の2本立てで。