IQ500の狂人ダンテが率いる暗黒組織インテリペリが構築したスーパーコンピューター「オメガ」。
全世界のあらゆる情報をインプットし、起動すれば神羅万象の未来を予見する事ができる京も富岳も裸足で逃げ出す神の頭脳…になるはずでしたが起動失敗。
原因はデータの入力漏れ。
たった一人の男の名前を正しく入力できなかったため、オメガは起動しませんでしたた。
その男の通称は「バカボンのパパ」。
調べてみると住民票から銀行の通帳まで全て「バカボンのパパ」。
役所の窓口がいくら問いただしても口を割らず、ついには「パ行」でしか話せなくなってしまったという。
この事実を掴んだ内閣情報局が行動を開始。
一方、テンテリペリもこの難問に直面。20人以上の手下を送り込みましたが、全員「パ行」でしか話せない特殊言語マスターに。
このままでは組織全員がパ行でしか話せなくなってしまう。
拷問では嘘を言うかもしれん。本人が駄目なら息子のバカボンから聞き出せばいい。
『子供と仲良くなるには子供が一番だ』
バカボンのパパの本名入手のためにインテリペリが召喚したバカボン攻略の密使は…ネロ?
「天才バカヴォン ~蘇るフランダースの犬~」(2015年/FROGMAN監督)
世界名作劇場の第1作「フランダースの犬」。
主人公の少年ネロは全てを失い(奪われ)、クリスマスの夜に大聖堂で憧れだったルーベンスの絵を見ながら愛犬パトラッシュと共に息絶え、天使たちに誘われて天国へ旅立って…いったはずでしたが…。
自分を虐げ追い込んだ村人(=人間)に対する怒りと怨嗟で逆上、天使の手を振りほどいてパトラッシュと共に地獄に下り、全人類に対する復讐の機会を窺っていたのでした。
地獄の炎でバーベキューをしていたネロを召還したダンテは、「バカボンからバカボンのパパの本名を聞き出してくれたら、お前の復讐を手伝ってやる」と提案。
『人間たちに復讐できるなら、いくらでも』
と、ここまでが、お話の諸設定。バカボンとネロ、夢の競演。
人類の命運を賭けた内閣調査部と暗黒組織インテリペリとネロとパトラッシュとバカボン一家の攻防戦…と書くとなにやら大仰ですが、ノリは完全に「鷹の爪」。
全ての台詞がボケの引き金。何か言われたらボケないとペナルティーがあるかのようなボケ倒し博覧会。
座卓を囲む位置決めだけでこれだけ👇ボケる。
きっちり拾って突っ込む内閣調査室の神田(バカボンらからは「舐めた」と呼ばれている)が良い味わい。
神田が「命運」と言うたびにバカボンがイメージする、命運と書かれた連凧と「♪命運、それは~」という画像にだけは(バカボンの脳内の出来事なので)突っ込めず投げっぱなしでしたが、ここ結構ツボでした。
本編レギュラーのキャラもあちこちでゲスト出演。レレレのおじさんの声、上島竜兵だったんですね( ノД`)シクシク…。
どーでもいい話ですが、てっきりインテリペリってインペリテリのパロディで、総統が超絶技巧の速弾きギターでも披露するのかと思ったら全然関係ありませんでした。
レビュー読んでいると「偉大な作品を辱める」とか「赤塚不二夫氏も怒りを覚える」とか言っている人がいますが、赤塚先生は怒らないと思いますよ。
既成概念の破壊(を笑いに転化させる事)こそ赤塚先生が目指したもののような気がするので。
★折角なのでFROGMANの作品をいくつか。
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★本日2月22日はオリジナル版「天才バカボン」の脚本・演出(1~22話)を担当した吉川惣司の誕生日(おめでとうございます!)。
吉川脚本と言えば、「未来少年コナン」「ルパン三世(第1期)」そして何と言っても「装甲騎兵ボトムズ」シリーズですが、劇場用監督作として外せないのはこれでしょう。
★本日のTV放送【12:56~BSテレ東/シネマスペシャル】
※大杉漣の命日翌日企画なんでしょうか。だとしたらもちっと作品を選んでほしいものです。