中学生・久保田淳一郎は驚愕していました。
小学校は別々だったけど、中学は一緒。今日からお揃いの学ランを着て中学生活を謳歌する…つもりだったのに。
何でトモ、お前はセーラー服なんか着ているんだ。
お前、まさか、女の子だったのか!?
淳、ちょっとここ来て座れ。
クラスメイトからは「相沢さんとつきあってるの?」とか聞かれるし。
そうか、周りから見れば俺たちは男と女。俺が隣に張り付いていたらトモに迷惑が…。
どう声を掛けて良いか分からず時間ばかりが過ぎて行き…。
早く仲直りして、これまで通りの親友関係を維持し、かつ、周囲から妙な目で見られないようにするには…。そうだ、俺に彼女がいればいいんじゃ…!?
淳、やっぱりちょっとこっち来て座れ。
中学生・群堂みすずは絶望していました。
トモは中学に入っても落ち着く事を知らず、その身体能力は日に日に磨きがかかり、既に人類の域を超えているとすら…。
あれには付き合えない。最早、女の子同士という友人関係を維持するのは困難。
もうひとり、ほどよくトモの足を引っ張ってくれる、常識的で慎重な人間が必要。
ここに「トモと唯一無二の親友関係」を築き維持したいと願う男女の利害が綺麗に一致。
『群堂、俺と“つきあう”っていうの、やってみないか』
『…面白そうね』
それが中学3日間交際の真相か。どこまで拗らせてんだお前ら。
「トモちゃんは女の子!/第10話・勝負の行方|親友でいるために……」(2023年3月8日深夜TOKYO MX放送/水本葉月演出)
Aパートはマラソン大会。やる気まんまん淳とトモ。
何人たりとも自分の前は走らせない! 教師のスクーターも追い越し、女子折り返しポイントも無視して桁外れのトップ独走。
しかし、復路でトモが昏倒。躓いたのでも五体投地でもなく、前のめりばったり。
抱き起こせば高熱。聞けば昨夜、夕食後走りに行き、夜10時過ぎに戻って風呂場で気絶して朝を迎え…。
かつてこれほど色気の無いサービスカットがあっただろうか。
意識の無くなったトモをおぶった淳はマラソン続行。そして、そのまま優勝。
かつてここまでの体力を誇るラブコメ主人公がいただろうか。
気が付けば保健室。
そばにはみすず。キャロルは当たり前のように同衾。
『と、トモ、落ち着いて聞いて。あ、あなた、風邪よ』
『おう、まずお前が落ちつけ』
どうもトモのこととなると冷静さを失うようですみすずさん。
『あけみさんが迎えに来てくれるってよ。歩けるか』
『おぅ…あ、いや…おんぶ!』
『は!?』
『お前、あたしをおんぶしてここまで運んだんだろ? あたし全然覚えてねーからもっかいだ、もっかい!』
『い、意味がわかんねえ』
『お、おんぶしろよ!病人だぞ!』
渾身の脅迫…じゃない、おねだりに折れた淳が二度目のおんぶ。
『なーるほどなー。こんな感じか。でっかくなったなあ』
『お、お前も…』
トモがあけみさんとタクシーで去った後、土煙をあげて走って来た父・五郎。
両手にぶっとい長ネギを持っていますが、おっさん、それ何に使うつもりだ?
アニメ・漫画で風邪と言えばネギ。問答無用のお約束ではありますが…。
Bパートが中学時代の回想(ここまでの話の淳視点による再構築と答え合わせ)。
今回はみすず回でしたね。
互いに一瞬、恋の甘酸っぱさに浸る辺り、可愛いじゃありませんか。
直後に奈落が待っていた訳ですが…。
みすずにとって淳との「つきあい」は、もしトモと遊んだらどうなるかのシミュレーション。答えはひとつ「無理!絶対!」
学校で『もうあなたとは友達でいられないのかも』とトモに告げると、トモはみすずの腕を取って中庭へ。
『ほかの奴らとはしゃいでいる時よりも、お前の隣にいる時間の方が俺にとってはずっと大切だ。お前は違うのかよ』
『…そういうの、どこで覚えてくるの!?』
流石、天然女子キラー。スーパーナチュラルたらしです。
返す刀で1年ぶりに声をかけてきた淳に涙浮かべて鉄拳2発。
『俺とお前が変わらず一緒にいてぇと思っているなら、ほかの奴らにどう思われたって関係ねえだろうが!』
オトコマエ過ぎて言葉もありません。
『で、お前はどうしたいんだ!?』
『俺は…お前と一緒にいたい!変わらずずっと、一緒にいたいよ!』
なにこのガチヒロイン。
以来、変わらないと思っていた二人の関係。しかし…。
改めて正面からトモと向き合い、その顔を眺むれば…。
≪薄々、そんな気はしてたが、こいつやっぱり…かわいいんじゃねえのか!?≫
やっとか。ようやくラブコメに必用な恋する男女が揃いました。
さて、どうする、久保田淳一郎。
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★本日3月11日は梅宮辰夫(1938~2019)の誕生日。
2019年の追悼記事からは漏れましたが、脇で光っていたこの2本を。