『これはチャンスなんやで。土佐の中浜で終わるのもええがよ、日本の中浜の方がええと思わんか』
土佐の愚連隊から日本最大組織の若頭まで上り詰めた男、中浜勝成(中山勝正)の辿った実録「鯨道」。
「覇道」(2008年/辻裕之監督)
終戦後の土佐。日々喧嘩に明け暮れていた中浜勝成(小沢仁志)は、佐々井組(中井組)組長・佐々井恭一(中井啓一。演じるは誠直也)の盃を受けて任侠の世界へ。
土佐を外敵から守る。よそ者が土佐に土足で踏みこむ事は絶対に許さない。
中浜は片腕となる池内誠(恐らく3代目豪友会会長・池本審。演じるは本宮泰風)と始めた白タク組織「自動車愛好会」を「豪誠会(豪友会)」と改称、併せて佐々井組の若頭に。
よそ者が賭場を開けば、斬り込み隊長となって事務所強襲。
よそ者と言ってもどちらも最大組織・山賀組(勿論、神戸のあそこ)の盃を貰っているいわば「同門」…なのですが、知った事かとばかりにパイナップルのプレゼント(タイトル画像)。
そんな土佐に佐々井組長と知己の中である尾道の玄道会(侠道会)会長・森山雄吉(森田幸吉。演じるは峰岸徹)が高知支部を。
こちらの斬り込み隊長は小沢和義(兄弟喧嘩だ!)
上同士が知己という事で中浜には佐々井から「玄道会には手出し無用」のお達しが。
火薬庫だけがチリチリと温度を上げていく中、中浜の元に徳島の山賀組直参・心孝会(心腹会)会長・尾形明信(尾崎彰春。ノンクレジットでいきなり藤原喜明が出てきてびっくり)。
要件は「三代目の盃を受けて、山賀組の直参にならないか」
中央への扉が開いたところで序章終了。
かなり細かい所まで史実に忠実な実録ものでした。
ただ、中山勝正って人、最終的には四代目竹中組長襲撃の巻き添えで命を落としているんですよね。
「実録 史上最大の抗争 義絶状2」より。
四代目山王会若頭 中浜勝義が中山勝正。
何と言うか記念写真のそこかしこに映ってはいるんだけど、山口組の歴史本流から見ると「モブ」な人、のイメージ。
お話の続きは「完結編」に引き継がれるのですが、締めどころが難しいですね。
本作、そこかしこに「鯨」が登場します。鯨のような太く勇壮な生き様に憧れるようです。土佐人は。
ならば「覇道」なんてふわっとしたタイトルではなく「鯨道」にすれば良かったのに、と思ったら先に作られておりました。
『実録・鯨道・1 土佐遊侠外伝 青春編』(2002年)、『実録・鯨道・2 土佐遊侠外伝 完結編』(2007年)。いずれも中山勝正役は大沢樹生。
ちょっとタイミングが悪かったですね(それでも演りたかったのか、小沢さん)。
★作中、心孝会となっていた心腹会がブイブイ言わせている徳島の抗争と言えば…
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★本日4月1日は「はがねの日」。
一般社団法人・全日本特殊鋼流通協会(全特協)が2005年(平成17年)に制定。
特殊鋼:Special Steel。原題・邦題問わずタイトルにSTEELを含む作品は結構あります。
ちょっと摘まんでみましょう。
原題(のひとつ)はHANDS OF STEEL
そのものズバリSTEELが原題なのは、
「リアル・スティール」の原作「STEEL」を映像化した
流石「はがね」を冠する作品群。骨の太いものばかりです。