『あとどれくらい生きられる!?』
『24時間を切っているわ』
トラヴィス(イーサン・ホーク)は腕利きの殺し屋さん。
組織(ギャングではなく大企業)のために汚れ仕事をこなしていたら妻も子供も失って。
引退して海辺でまったりしてたら大金積まれて再就役。
仕事はインターポールに保護されている裏切り者(←組織に不利な証言をしようとしている)の居場所特定と排除。
捜査官のお姉ちゃん(子持ちの中国人。出資と引き換えの出演)がケープタウンにいるのが分かったので、南アに飛んでナンパして一発やって、シャワー中に携帯のデータをコピー。
裏切者の居場所が分かったので、本部に連絡入れかけた所で身バレ。
あっさりお姉ちゃんに撃ち殺されてあの世行き。
待て死ぬな待て、せめて裏切者の居場所告げてから死ねや、と組織が蘇生。
この日のために南アで貧乏人拉致しては繰り返してきた人体蘇生実験が役立つ日がやってきた(本作のジャンルは「SFスリラー」なんだそうです)。
必要なデータさえ取れれば死にぞこないに用はありません。
あんじょう三途の川渡りいや、と薬殺されそうになったところをふざけんな!と逆襲して脱走。
しかし、蘇生には24時間という時間制限がありました。
「リミット・オブ・アサシン」(2017年/ブライアン・スムルツ監督)
お話は使い捨てにされたトラヴィスが組織に復讐しつつ、女房子供を守れなかった悔恨と懺悔から同じ年ごろの子供を持つインターポールお姉ちゃんを守ろうと決意して大奮闘、そこに24時間という時間制限が加わってサスペンス増し増し、という「セイフ」+「ニューヨーク1997」な建てつけ。
なのですが、有り体な展開で面白さは今ひとつ。
因みにタイムリミットの24時間というのは「人体蘇生の効力が24時間しか持たない」という事ではなく、「違法な施術の被検体がうっかり世に出てしまうと困るので逃がしても24時間後には確実にもう一度死んでもらうための安全弁を埋め込んだ」という事です。
で、個人的にイーサン・ホークより目が行ってしまったのが、トラヴィスの尻ぬぐいで裏切者の処理を押し付けられた同僚のジム(ポール・アンダーソン)。
彼も「汚れ仕事はもうやらない」と組織内リタイアを決め込んでいましたが、家族が人質の宮仕え。嫌々ながら南アへGO!
ここでジムが使う得物がバレットM82。
米国バレット社が設計した大口径軍用対物狙撃銃。
12kg超えの重量がありますが、15秒で組み立てられるように設計されており、分解してケースに収めることで簡単に運搬する事が可能です。
実戦においては、湾岸戦争で2km先の人間を狙撃、イラク戦争ではアメリカ軍が掃討で使用した際に1.5km先の敵兵の身体を両断する威力を発揮したそうです。
こいつが裏切者の供述場所となった施設向かいの時計塔から建物の壁を段ボールのようにスパスパぶち抜いて警備も捜査官も鎧袖一触。
スコープに示された射程距離は120~130m。2km先の人間を狙撃する事を思えば至近距離です。
1発目の人体着弾が窓ガラス着弾より一瞬早いのがちょっと残念でしたが。
対物ライフル(アンチ・マテリアル・ライフル)としてはメジャー品なので、色々な映画(「ザ・シューター/極大射程」とか「バトルシップ」とか「ランボー/最後の戦場」とか)に登場していますが、使い手一番は「ご注文はうさぎですか?」第8話のリゼでしょう。
対物ライフルをクレー射撃に使う女子高生は世界広しと言えども彼女だけです。
作品からどんどん離れていく気がしますが、いいんですよ。見どころがひとつある。それで十分じゃないですか。
トラヴィスの義父役でルドガー・ハウアーが(僅かですが、見せ場もアリ)。
時間制限付きの命という所に「ブレードランナー」のレプリカント、ロイを重ねて考察…している人は一杯いると思うのでそこいらへんは省略します。
★実はイーサン・ホークで一番好きなのは、
★対物ライフル3連発
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