デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

繋いだ両手が道しるべ。 事情を知らない転校生がグイグイくる。 #4

それでも高田くんは泣きやまなかったので、私たちは手を繋いで帰りました。

少しだけ遠回りの道を選んで、外灯の灯りを辿るように、迷わないように、私たちの帰り道を見失わないように

夏休みは高田くんの心にひとつの爪痕を残しました。

「事情を知らない転校生がグイグイくる。/第4話・おばあちゃんち」(2023年4月30日TOKYO MX放送)

8月に入りました。西村さんはおばあちゃんの家に。高田君は引っ越し前に住んでいた所に。暫しの別れ。

それでも想うのはお互いの事。今頃、西村さんは、高田くんはどうしているのだろう。

西村さんのお供はクロ(公園で拾った猫)。

しかし、お父さんの組み立てたケージの締めが甘かった(お父さん不器用だな)ため、脱走。

総出で探すも見つからず。西村さんパニックになりかけた所で玄関に声。

『すみませーん、この子が外でウロウロしてたんですけど』

聞き間違いようもなく高田くんの声。

『あら、太陽じゃないか。久しぶり』

何と、高田君が引っ越し前に住んでいたのは、西村さんのおばあちゃんちの近くでした。

『でも、これって、偶然って言うより…もう…』

『凄い偶然だね。僕たち、運命みたい』

≪恥ずかしくて口に出せないような事を躊躇なく…!≫

『太陽、折角だから茜ちゃんにこの辺、案内してあげなよ』

ここは高田くんにとっては全ステージマップ入手済みの遊び場です。

ふたりで大自然のフィールドへGO AHEAD!


翌日、西村さんはお父さんと連れ立ってお墓参りに。

途中、偶然太陽と出会った(本当に偶然か)ので、お父さんは一足先にお参りして帰宅。

それを見たおばあちゃんが、

『ふうん。男か…今頃どこを連れ回されてるんだかねえ…』

事情を察したおばあちゃんがグイグイ煽る(笑)。

遅れて西村さんと墓前に花を手向け、線香、お茶を供えた太陽。


ここで太陽は初めて知ります。西村さんがご先祖様に手を合わせに来たのではなく、死んだお母さんの墓参りに来たのだと言う事を。

『お母さんはね、私が生まれてすぐに亡くなったから…何て言うか、入れ替わりみたいな感じなんだけど…』


お母さんが死んでいる? 入れ替わり? そんな境遇の子に僕は嬉々として「死神パワー」を連呼していた? それじゃまるで西村さんのお母さんが死んだのは…

『ねえ…もしかして僕、今の今まで西村さんに酷い事、言ってた? 僕は、西村さんの友達なのに!』


とめどなく溢れる涙。西村さんが否定してもなだめても止まらない。

≪それでも高田くんは泣きやまなかったので、私たちは手を繋いで帰りました。

少しだけ遠回りの道を選んで、外灯の灯りを辿るように、迷わないように、私たちの帰り道を見失わないように≫

 

昼間渡った時に『この辺り、夜になるとホタルが飛び回るんだよ。魂みたいに!』と言っていた橋。その言葉通り、ホタルの群れが魂のように…。

 

 

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