本日7月10日は「ウルトラマンの日」。
1966年(昭和41年)の今日、TBSテレビで「ウルトラマン」の放送が開始されました。
第1回の放送は「ウルトラ作戦第1号」…ではなく「ウルトラマン前夜祭 ウルトラマン誕生」。
元々の放送開始予定は翌週7月17日でしたが、「ウルトラQ」の最終話「あけてくれ」が、内容が難解であるという理由で放送中止になったため、その穴埋めとして前日に杉並公会堂で開かれたウルトラマンの宣伝イベントの模様を急遽「前夜祭」として放送した、といういきなり急場しのぎ大作戦。
以前、この日を「ウルトラQ最終話・あけてくれ!放送中止の日」として記事にしましたが、今回は前夜祭に絡めて。
前夜祭の演出は実相寺昭雄…とされていますが、実はもうひとり演出家が絡んでおりました。
樋口祐三。当初「ウルトラマン」にはTBSプロデューサーとして参画しておりましたが、撮影スケジュールの関係で監督も兼任。海堂太郎名義で脚本も執筆しています。
この樋口祐三監督/海堂太郎脚本という本人コンビによる作品がふたつ。ひとつは第30話「来たのは誰だ」(ケロニアの回ね)。そしてもうひとつが、
「第21話・噴煙突破せよ」(1966年12月4日放送/樋口祐三監督)
「究極超人あ~る」R・田中一郎の持ちネタのひとつ「ケムラーの目」でお馴染みの怪獣ケムラー登場回です。
死火山と思われていた大武山の噴火口から現れ、口から毒ガス吐きまくる迷惑千万な奴ですが、出現前の被害が鳥が死んだり魚が死んだり程度だったので、科特隊取り合わず。
『こりゃ女子供の仕事ですよ』という今放送したら世間様からタコ殴り確実なアラシ隊員の失言を逆手にとってフジ隊員が現地調査に立候補。
『だって、今女子供の仕事だって言ったでしょ?』
という訳でフジ隊員が出発しましたが、このエピ、実に見どころ満載。
順を負ってチェックしていきましょう。
●見どころ其の壱:小型ビートルのテイルシッター式垂直着陸が拝める。
小型ビートルはVTOL機ではなく短距離離着陸(STOL)機なので、離着陸は垂直に近いかなりの急角度で行います。
今回は尾部を下にして着陸する「テイルシッター式」を披露しています。
●見どころ其の弐:小型ビートルの発艦シークエンスが拝める。
着陸した小型ビートルにケムラーの毒ガスが侵入してきてフジ隊員意識不明。こっそり乗り込んでいたホシノ少年がムラマツの遠隔指示で小型ビートル起動(科特隊のリアルを存在ひとつでぶち壊すホシノくんに見せ場がある、だと!?)。
操作手順をひとつひとつ正確にこなして発進離脱!
発進時は垂直離陸ではありませんでしたが、垂直離陸できるだけの推力があったとしても、少しでも滑走して翼に風を当て、揚力を発生させれば、それだけ離陸重量が大きくなるので理には適っています。
●見どころ其の参:防衛軍も頑張る。
怪獣出現でビートルからミサイルでもかますのかと思いきや、一旦帰投。攻撃は防衛軍の手に。
爆撃機大破、戦車大隊壊滅で出番終了。でも迎え撃つ戦車舐めのケムラーというアングルは素晴らしい。
最後は「背中が弱点だよ」というホシノくんの根拠ゼロのアドバイスを真に受けたイデ隊員が作った、怪獣の急所を一撃で粉砕する新兵器「マッド・バズーカ」で決着(ウルトラマンはアシスト程度)。
●見どころ其の四:フジ隊員が何か可愛い。
作戦中はずっと気絶で存在感ゼロのフジ隊員でしたが、出発時と入院治療時の様子が可愛かったので良しとします。
★前夜祭放送日に放送予定だった「ウルトラQ」最終話はこちら。
★こちらも樋口祐三監督作品(脚本は金城哲夫)
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★本日のTV放送【13:00~NHK BS】