『皆が折れずにいてくれるなら、俺も諦めないで戦う!戦って、勝って見せる!俺の名前はナツキスバル!魔女教大罪司教・怠惰を倒した精霊使いだ!』
スバル大演説、生存者大集結、反撃開始待ったなし。
「Re:ゼロから始める異世界生活 3rd season /第7話(通算57話)・最も新しい英雄と最も古い英雄」(2024年11月13日TOKYO MX放送/後藤真人演出)
憤怒・強欲・暴食、そして色欲。魔女教大罪司教オールスターズに占拠された水門都市プリステラ。
強欲レグルスにエミリアを拉致され、色欲カペラの脅迫放送と一時的とは言え開かれた水門から流れ込んだ濁流と街中を跋扈する魔物の群れで市民の精神は一杯一杯。避難所に逃れたものの憤怒シリウスの権能で不安と恐怖が伝播してどの避難所も一触即発。
色欲に奪われた都市庁舎にカチコミかけたスバルとクルシュさんですが、色欲カペラを倒せなかったのみならず、スバルは片足もぎ取られ、クルシュさんは竜の血の混じった色欲の血液を浴びて醜く変貌。
運よくスバルは単独行動中のプリシラに助けられましたが満身創痍(スバルには竜の血が通常とは逆の効能を発揮したようで脚はちっと気持ち悪くなりましたが元通り)。
幸い戦死者はゼロ。都市庁舎も色欲が去って何とか奪還。そこに残っていたのは色欲が脅迫放送に使った広域放送用の魔道具ミーティア。
これを使えば、状況も分からず混乱し、内輪に怒りの矛先を向けている市民の心を静めることができるかもしれない。
問題は誰が語り掛けるか。
第一候補はアナスタシアですが、自分の肩書では効果がない、と。
白鯨戦で見事なアジかましたクルシュさんも今はそれどころではなく、ユリウスも知名度が…。
『あのよ、それって大将がやるんじゃいけねえのか?』
たまらず割って入ったのはガーフィール。大将しかいねえ。
待ったをかけたのはアルデバラン(アル)。
『何もかも背負ってそれでどうにかなるなら大したもんだ。でも、大多数の凡人はそんな役目なんて背負えねえんだよ。俺は勿論、兄弟だってそうさ。なのになんでそんなに背負わさなきゃなんねえ! …可哀そうだろが!』
兄弟(スバル)は、ただエミリアを助けることだけ考えりゃいいんだ。
一瞬鉄兜から覗いたアルの目。それはどこかスバルに似て…。
『もしやるなら兄弟、兄弟がこれから背負うのは英雄幻想だ。負けちゃいけねえ、勝たなきゃならねえ。希望を担い、期待を背負い、未来を示して戦うんだ。ここで決断したらそうならなきゃいけねえ』
負けちゃいけねえのはこれまでと同じ。たが、重みが違う。負ければ自分だけの負けでは済まなくなる。
スバルの脳裏に去来するこれまで理不尽すぎる試練と克服の数々(このプレイバックは卑怯だ!)
『なんだ…じゃいつもと変わらねえな』
既にスバルは英雄です。レムにとっても、エミリアにとっても。
ならばやろう、この俺が。
『男の子はええかっこしいだもんね』
アナスタシアとグータッチして放送開始。突然の(魔女教以外の)放送に一瞬沸き立つ避難所ですが、魔女教の脅威は去っていない。まずはその確認から。
『俺は何様でも何者でもないよ。みんなと同じ、状況に振り回されて理不尽に押しつぶされそうで、ビビって足が震えている、そんな奴だ。俺の声、震えてないか? 人前に立つなんて俺のキャラじゃないんだよ。立派なことも言えないし、みんなを引っ張っていくカリスマなんてものもない。…それでも逃げられないから戦う。俺はそれだけの奴だ』
『もう一度聞かせてくれ。この声を聞いている人は今どこにいる?避難所に逃げ込めているか?自分の家に隠れてるのか? ひとりで震えてたりしないか? 誰かと一緒にいられてるか? 一緒にいるのは大切な人か? 知らない顔でもこの数時間で見知った顔になったか? 勝手な話だし難しいかもしれないけど、お願いだからひとりにならないでくれ。そして、出来るなら一緒にいる誰かの顔を見てくれ』
耳を傾ける避難所の人たち。
『今、誰の顔を見た? 大切な人か?それともこの数時間を一緒に過ごした知らない相手か? 多分ひでー顔してるだろう。泣き顔だったり、辛そうだったり、笑っている顔はないと思う。それが許せるかよ。俺は許せない。許したくない』
『俺にも大切な人がいる。大事な仲間がいる。俺はその大切な人たちにつらい顔や悲しい顔をさせている奴を許せない』
『負けっぱなしじゃいられねえ、投げっぱなしじゃカッコがつかねえ、やられっぱなしでいいわけがねえ。間違っているのはあいつらだ。間違っている奴らに負けるなんて我慢ならねえ。あんな奴らに負けを認めるなんて俺はしたくない。だから戦う。弱いのも頭が悪いのも全部わかってるけど、戦ってやる。あいつらが間違っている。俺の好きな人たちに泣きそうな顔をさせているあいつらが間違っている!だから戦う。俺は戦う。みんなにも戦ってほしい』
勿論、棒切れ持って振り回せと言っているわけじゃない。
『俺がみんなに望む事は“下を向かないでほしい”って事なんだ。周り見渡してみたら、きっと誰かと目が合う。それは同じ不安を抱えている誰かだけど、同じ負けたくないって気持ちを抱えた誰かでもある。信じさせてくれよ。弱くてどうしようもない俺が、まだ諦められねえんだ。諦めの悪い弱虫が俺だけじゃないって、そう信じさせてくれよ。それとも、俺だけなのか?』
『…違う』
『まだやれるって、まだ戦えるって、そう思っているのは俺だけなのか?』
『違う!』『そうだ違う』『違うぞ!』
『違うよな!?』
『『『違う!』』』
『まだみんなも戦ってるよな!? 弱さに飲まれやしないよな!?』
スバルの声は各々の立場で戦っている仲間の元にも。
『みんなが折れずにいてくれるなら、俺もあきらめないで戦う!戦って、勝って見せる!俺の名前はナツキスバル!魔女教大罪司教・怠惰を倒した精霊使いだ!』
お馴染みの名乗り。いつにも増して力強く響きます。
放送終了後、都市庁舎に現れたのはオットー。帯同していたのは、
『遅れてすまない。ラインハルト・ヴァン・アストレア、遅ればせながら合流する』
参謀と剣聖。知略と規格外の加護。生存者大集結。
29分30秒。CMガン無視。息つく暇もない全力疾走の溜め回。掛け値なしの神回でした。
★演説と言えば…。
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